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狂へる悪魔

Dr.Jekyll and Mr.Hyde(1920)

Director
ジョン・S・ロバートソン

Cast
ジョン・バリモア / ニタ・ナルディ / ブランドン・ハースト / マーサ・マンスフィールド

Production Company
パラマウント

『E.T.』(1982)の子役として知られるドリュー・バリモアまで連綿と続く、ハリウッドの劇壇で名高いバリモア一家。その三兄弟の末弟であり、ドリュー・バリモアの祖父に当たる「偉大なる横顔」ジョン・バリモアがスティーブンスンの『ジキル博士とハイド氏』を演じたサイレント時代の傑作。フレデリック・マーチ主演の『ジキル博士とハイド氏』(1931)と並ぶジキルとハイドものの代表的作品である。

バリモアのハイド氏への変化は、時代的な技術的制約もあり演技によるものが主体となっている。しかし、容姿端麗なジキル博士が醜く生理的嫌悪感を抱かせるハイド氏へと変身するさまは圧倒的な迫力を持っている。その姿勢や歩き方、仕草に至るまで全く別人であるかのような印象を与えるバリモアの演技力は、後年の特殊メイクに頼った安易なホラー映画に何が欠けているのかを我々に思い出させる。

サイレント映画で文学的なテーマを扱うことの難しさを伺わせる矢鱈と説明的な字幕の多さや、やや凡庸な演出等、全体を通じては1931年版に一歩譲る所があるのは事実である。しかし、それでもなお本作がジキルとハイドものの代表作の一つたりえているのは、ひとえに名優ジョン・バリモアの演技が全てと言えるだろう。

また、えてして怪物側、排除される側の視点で怪奇映画を観ている私にとっては、1931年版が友人ラニヨンの告発によって最期を迎えひどく残酷な印象を与えるのに対して、本作品は若干気の利いたラストの展開を見せるところも評価したいと思う。