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プラーグの大学生

Der Student von Prag(1926)

Director
ヘンリク・ガレーン

Cast
コンラート・ファイト / ヴェルナー・クラウス / アグネス・エステルハーツィ / エリッサ・ラ・ポルタ

Production Company
ウーファ

ハンス・ハインツ・エーヴェルスの同名小説2度目の映画化作品。映画化されることを前提として執筆されたエーヴェルスのこの小説は、映像映えするギミックを物語に取り入れたこともあり、この後1936年にも再度映画化されている。悪魔に魂を売り渡し身を滅ぼすという『ファウスト』(1926)に通ずる主題とドッペルゲンガー・テーマそのものも、非常にドイツ的で好まれたのだろう。

さて、2度目の映画化である本作の魅力は何と言ってもそのキャスティングにある。『カリガリ博士』(1920)で眠り男チェザーレを演じたコンラート・ファイトが剣の達人バルドウィンを、カリガリ博士を演じたヴェルナー・クラウスが悪魔スカピネリを演じているとくれば、これはもう怪奇幻想の愛好家ならば何が何でも見ないわけにはいかない。私のように未見の映画のキャスティングを眺めては、わくわくしてしまうような方ならばなおさらである。

先にパウル・ヴェゲナーが演じたバルドウィンは、大仰な仕草でやや能天気な人物であったのに対し、コンラート・ファイトの演技はより繊細で影を感じさせる。一方のヴェルナー・クラウスのスカピネリもより異様で存在感があり、1913年版に比べて作品は重苦しさと影を増すことに成功している。そして、ドイツ表現主義を代表するこの二大俳優の圧倒的な存在感もさることながら素晴らしい演出が要所で光る。物語の冒頭、あたかも後に続く一連の凶事を呼び起こすかのように丘の上で奇妙な仕草をするスカピネリの演出、バルドウィンが書いたマルグリットへの手紙へ手を伸ばし、ふわりと手紙を奪い去るスカピネリの「影」の演出。こういった素晴らしい演出に出会えることこそがまさに怪奇映画を観る喜びと言えよう。

歴史的価値があるからだろうか、映画史家の間では1913年版の方が評価が高いように思われるが、私としては絶対にこちらの1926年版を推す。怪奇幻想を愛する者ならば、是非とも両者を見比べ、そして1926年版の映像に漂う重苦しい空気を満喫してみて欲しい。