![]() |
Director |
ロバート・L・スティーブンスンの『ジキル博士とハイド氏』は、ジキル博士のハイド氏への変貌という主題が視覚的な効果をあげるためか、映画創生期より幾度となく映画化されているが、数多いジキルとハイドものの中でも最も評価が高いのが本作品、1932年のフレデリック・マーチ主演版である。本作品は怪奇映画として初のアカデミー主演男優賞を受賞していることでも知られ、怪奇映画愛好家のみならず一般評価も高い作品である。
この『ジキル博士とハイド氏』(1932)の評価が高いのは、やはり正統派二枚目俳優であるフレデリック・マーチが非常に醜いハイド氏へと変貌する、そのギャップにあるように思う。顔立ちの整ったジキル博士が、オーバーラップで徐々に猿人的で表情の弛んだ醜いハイド氏へと変化していくその過程は、ギャップが激しいが故に映像として非常に強烈な印象を与える。しかも、変貌した後のハイド氏の野蛮さはその外見に留まらず、酒場で目をつけた娼婦アイビーを精神的に追い込んでいくその邪悪な手口は正に人間の悪の精神そのものである。
また、ハイド氏に捕われる薄幸のアイビーを演ずるミリアム・ホプキンスの演技も素晴らしく、恐ろしさの余り逃げ出すことすらできず、ジキル博士に泣きつくシーン等は哀愁漂う名演技である。アカデミー受賞のマーチの演技が光る裏では、それを引き立てているミリアム・ホプキンスの演技があることを忘れてはならないだろう。
なお、私のように怪奇映画をややもすると怪物側の立場で見ている人間にとっては、ジキル博士が友人ラニヨンの告発により容赦なく秘密を暴かれる最期がかなり残酷な気がするのであるが、皆さんは一体どう御感じになるだろうか・・・。
| Previous Page | Back to Movie Top | Next Page |
| Back to Menu | ||
Copyright(c) 1998-2007 Castle of the Darkness