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過去に幾度か映画化されているH・G・ウェルズの『ドクター・モローの島』の最初の映画化作品。後年に制作されたものが比較的SF色が強いのに対して、本作は怪奇映画然とした雰囲気が濃厚なのが特徴でありモノクロの画面も手伝って全体的におどろおどろしい印象を受ける作品である。
モロー博士を演ずるチャールズ・ロートンの薄ら笑いとぬらぬらした存在感は生理的な嫌悪感を抱かせるに充分な妖しい魅力を放ち、彼が生み出した獣人達は稚拙なメイクがかえって半人半獣の奇形ぶりを印象付ける結果となっている。まさに「怪奇映画」というに相応しいいかがわしさを漂わせている作品と言えようか。
ラストの獣人達がモロー博士に詰め寄るシーン等もぞっとするほどの雰囲気を生み出しているし、何と言ってもその後のモロー博士の悲鳴が耳から離れない。ヒステリックな笑い声とも取れるその悲鳴は、モロー博士の最期が画面に映し出されないからこそ想像を掻き立て恐怖を煽ることに成功している。これぞ古典怪奇映画の醍醐味!愛すべき名演出である。
なお、獣人達の一人に「法の番人」と称される比較的知性の高い獣人がいるのであるが、それを稀代のドラキュラ俳優ベラ・ルゴシが演じている。その特徴ある声、鋭い眼差しは健在であるものの、顔中を毛で覆われており一見しただけではそれとは分からない。このあまりなキャスティングは僅か一年前にドラキュラとして一枚看板を演じたルゴシの役者としての早い没落を感じさせ、我々怪奇幻想の愛好家を複雑な心境にさせる・・・。
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