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前年の『フランケンシュタイン』(1931)で一躍怪奇俳優としての地位を不動のものとした、ボリス・カーロフがミイラに扮する怪奇映画。
ジャック・ピアースの手による全身を腐敗した包帯で巻かれたカーロフのメイクのおどろおどろしさ、カーロフが徐々に眼を開き動き出すその演出や、それを目撃した若者が発狂する様等、全盛期のユニヴァーサルの素晴らしさが随所に見られる傑作ではあるが、残念なことに、全身を包帯で包んだいわゆる「ミイラ」は映画前半の数分間しか登場せず、カーロフは顔に無数の皺のメイクを施した3000年の眠りより蘇生したアーダス・ベイとなり作品は展開される。
物語は1921年のイギリス調査団によって発掘された高僧のミイラが、共に埋葬されていた禁断の巻物により甦ることから始まる。このミイラは、3000年前に病死した王女アンケスナモンを生き返らせようとした高僧イン・ホ・テップであり、禁断の書トートの巻物を盗んだ罰として生きたままミイラとされていたのである。イン・ホ・テップは王女アンケスナモンの生き返りであるヘレンと出会い、死を超越した愛のため、ヘレンの体にアンケスナモンの魂を呼び戻そうとする。
そう、この物語は怪奇映画でありながらも、甦ったイン・ホ・テップが呪詛により人間を死に至らしめたり、操るだけであることも手伝って、全体としては儚い悲恋映画なのである。後年にハマー・フィルムがクリストファー・リーを主演に制作した『ミイラの幽霊』(1959)でリーが包帯を巻いたままの姿で激しく暴れまわるのと比較すると、本作『ミイラ再生』(1932)のカーロフは古典的で大人しいと言わざるを得ない。
棺で眠るカーロフのミイラのメイクが素晴らしいだけに、このミイラの姿でもっと暴れてくれたらならば、と考えてしまうのは、怪奇映画を愛する者の悲しい性であるやもしれぬが、ミイラものの原点という古典的価値は十分に有する作品である。
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