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Director |
いきなりで申し訳ないが、この映画は日本国内では、残念ながらビデオ化はされていない作品である。しかし怪奇映画の紹介の本等では、頻繁にその名を見る上、スチール写真が載っていたりして、ファンを非常に欲求不満にさせる代表的作品の一つである。かくいう私も長年の欲求不満の末、輸入版を入手し、つたない語学力で感動にうち震えながら見た作品の一つである。
さてこの映画の最も大きな特徴は、トッド・ブラウニング監督が、ロン・チャニーを主演に撮った『真夜中過ぎのロンドン』(1927)を、ベラ・ルゴシ主演にしてリメイクした、という点にあろう。『魔人ドラキュラ』(1931)の監督と、主演が再び吸血鬼映画に再結集するのであるから、マニアにとってはそれだけでも充分に魅力的な映画である。一般的な視点から見ても、映像の美しさや、怪奇的な雰囲気など、『魔人ドラキュラ』に比肩しうるだけの、いや、テンポの面では充分にそれを凌駕する傑作であるといえる。惜しむらくは、ルゴシ演ずるモーラ伯爵が実は吸血鬼ではないという点とルゴシが喋るのは何とラストのたったの一言であるということが悔やまれる点なのであるが、それはストーリーの構成上しかたがない問題であるのかもしれない。
『魔人ドラキュラ』は演出面でブラウニングの手腕が発揮されたとは決して言い難いものであるが、本作品は比較的力が入っていると言えるのではなかろうか。モーラ伯爵達が城の中でくつろいでいる怪しげな映像や、伯爵の娘ルナが血を吸おうと犠牲者にしのびよるシーンなど、随所に素晴らしい演出が成されている。全体的にいかにも怪奇映画的なムードが立ち込め、陰鬱な雰囲気が充分に堪能できる傑作の一つである。一般的な方が輸入版を入手してまで見る価値があるのかと問われれば、否、ではあるが古典的怪奇映画が好きであるような私と同種の方ならば、是非入手して、その幻想的な映像に触れて頂きたいものである。
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