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ジキル博士とハイド氏

Dr.Jekyll and Mr.Hyde(1941)

Director
ビクター・フレミング

Cast
スペンサー・トレーシー / イングリッド・バーグマン / ラナ・ターナー / ドナルド・クリスプ

Production Company
MGM

パラマウントが制作したフレデリック・マーチ主演版『ジキル博士とハイド氏』(1931)の小説映画化権をMGMが買い取って、再度映画化した作品。31年版が怪奇映画として初のアカデミー主演男優賞を受賞した傑作であるのに対して、本作は実力も人気も兼ね備えた豪華なキャスティングで制作された割に評価はイマイチ高くない。

その原因は、ジキル博士を演ずるスペンサー・トレーシーその人にある。31年版のフレデリック・マーチが正統派二枚目俳優であったからこそ際立った変身シーンも、元々いかつい顔立ちのトレーシーがハイド氏に変身しても大して印象が変わらないのである。しかも、そのメイクは31年版よりもかなり控え目であり、髪の毛がちょっとボサボサになり、目の下にクマができている程度。これでは前作のイメージを超えることが出来ないのは当たり前である。

肝心のハイド氏がパッとしないためか、ハイド氏に監禁される酒場の娘アイビーを演ずるイングリッド・バーグマンの熱演も妙に空回り気味。バーグマン自身は生涯に2度もアカデミー主演女優賞を受賞した非常に演技力の高い女優であるが、不思議とその演技力の高さ故に逆に作品が白ける一因となってしまっているように思われてならない。

結果、数多き『ジキル博士とハイド氏』ものの映画化作品の中で、本作はかなり奥に埋もれた駄作と位置づけざるをえない。近年、映画でも舞台でも演技力に定評と自信のある役者程、ジキルとハイドの一人二役に挑戦したがる傾向があるように感じられる。しかし、根底に「怪奇映画」としての要素を持ち込まない限り、それはただの役者の自己満足にしかならないことをもっと強く認識すべきである。それは本作の失敗が何よりも雄弁に証明している。