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ユニヴァーサルが制作したドラキュラ映画第3弾。原題は"Son of Dracula"で「ドラキュラの息子」となってはいるが、ロン・チャニー・Jr.演ずるアルカード伯爵はドラキュラ伯爵その人であり、本作は紛れもないドラキュラ映画である。前作『女ドラキュラ』(1936)が原題通りドラキュラの娘であったことから、嫌が上にも期待は高まる作品ではあるが残念なことに本作品はドラキュラ伯爵の復活にも関わらずの駄作であり、国内未発売作品である。
そもそも、まずストーリーが妙なのである。アメリカ南部の都市にやってきたドラキュラ伯爵は美女ケイをその毒牙にかけ、自らの妻として迎え入れる。しかしケイには生前婚約者がおり、ケイは不死者となるやその婚約者にドラキュラの棺の在処を教え、ドラキュラを滅ぼし二人で永遠の生命を生きようと持ちかけるのである。そう、実は本作品はドラキュラ映画初の悪女ものなのであり、ドラキュラ伯爵は何とも情けないことにケイの裏切りによって陽光の下で朽ち果てて行くのである。
怪奇幻想を愛する者にとっては、一体こんなドラキュラ映画があってよいものであろうか、と呆然としてしまうこの展開に加え、本作でドラキュラ伯爵を演ずる「千の顔を持つ男」の息子であるロン・チャニー・Jr.もまた魅力に欠けること著しい。ドラキュラ伯爵の登場と共に盛りあがるはずの雰囲気は彼が演技をし始めると共に何処かヘと霧散する。やはりロン・チャニー・Jr.は所詮は「狼男俳優」なのであり、稀代のドラキュラ俳優であるベラ・ルゴシの演技の域には到底及ばないのである。狼男ローレンス・タルボットの苦悩とも泣き顔とも取れる彼の表情はドラキュラには似つかわしくなく、ケイに謀られ滅び行く際の妙な表情(彼の演技は大抵がこの表情であることが多い)も情けなさを助長するだけである。
一応怪奇映画における本作の価値としては、後年に幾度となく繰り返されることになるアルカード、ドラキュラというアナグラムの初の登場や、ドラキュラが蝙蝠へと変身する初のショット、陽光の下白骨化する初のショット等の初物尽くしである点にあるが、『魔人ドラキュラ』の倍近くかけられたという予算は一体どこに使われたのかと疑問に思わざるを得ない作品ではある。
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