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執念のミイラ

The Mummy's Ghost(1944)

Director
レジナルド・ル・ボーグ

Cast
ロン・チャニー・Jr. / ジョン・キャラダイン / ラムゼイ・エイムス / ジョージ・ズッコ

Production Company
ユニヴァーサル

ユニヴァーサル・ミイラ・シリーズの第4作目に当たる低予算映画。第二次世界大戦中に制作されたことを考慮すれば、ある程度は仕方のないことではあるのだが、前作『ミイラの墓場』(1942)に引き続き本作も随分とお粗末な映画である。本編の長さが1時間しかないにも関わらず、『執念のミイラ』(1944)は余程の好き者であっても退屈を覚えることだろう。

発掘されマサチューセッツ州の美術館に展示されているアナンカ王女のミイラを取り戻し、再び安息を与えるべく、エジプトの高僧アンドヘブは新たなる手下ヨーゼフ・ベイをアメリカへと送り出す。やがて美術館へと潜り込みアナンカ王女の元へ辿り着いたヨーゼフ・ベイとカリスであったが、カリスの腕がアナンカ王女に触れた瞬間、彼女の遺骸は霧散するかのように消えてしまう。何とアナンカ王女の魂は3000年の時を超え、再び転生しようとしていたのであった。

前々作でも、前作でも死んだはずの高僧アンドヘブもミイラ男カリスも健在に登場しているのは御愛嬌、として許すとしても、本作は全編に渡りどことなくのどかな雰囲気が漂っているのが何とも頂けない。何の変哲もないごく普通の田舎の風景の中をよたよたと歩くミイラには、往年のユニヴァーサルが持っていた怪奇幻想溢れる詩情の欠片もなく、むしろその滑稽な様は失笑すら呼び起こす。また終盤でミイラを追う人々を先導するピーナッツという名の小煩い小型犬も緊張感を削ぐこと甚だしい。

全体として『執念のミイラ』はかなり退屈な映画と言わざるを得ないが、それでもそのラストの展開だけは目を見張るものがある。アナンカ王女の魂が乗り移ったヒロインのアミーナは終盤カリスに連れ去られるのであるが、何と彼女は徐々にミイラ化しながらカリスと共に沼の底へと沈んでいくのである。怪物が登場する怪奇映画は数あれど、怪物側の勝利(?)に終わる映画は本作を除いて滅多にお目にかかれるものではない。この意外な結末だけは評価を受けるに充分値するだろう。そしてこういった展開は、えてして怪物側の視点で映画を見ることの多い私のような偏屈者を「カリス万歳!」と臆面もなく喜ばせるのである。