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ドラキュラの御子息

My Son, the Vampire(1952)

Director
ジョン・ギリング

Cast
ベラ・ルゴシ / アーサー・ルーカン / ドラ・ブライアン / フィリップ・リーヴァー

Production Company
レナウン

原題の"My Son, the Vampire"はアメリカ公開時のタイトルであり、オリジナルのイギリス公開時のタイトルは"Mother Riley meets the Vampire"となっている。これは老女役を当たり役としていた喜劇俳優、アーサー・ルーカン主演のライリーおばちゃんシリーズの15作品目であり、最終作。つまり、アメリカ公開時のタイトルは内容とは何ら関係がなく、商業的理由による改変である。

街で起こる不可思議な美女連続誘拐事件。吸血鬼の末裔と噂されるハウセン博士の仕業と囁かれる中、博士の世界征服のためのロボットとライリーおばちゃんへの荷物が入れ違いとなって配送されてしまったからさあ、大変!ハウセン博士は遠隔操作でロボットを屋敷へと連れ戻すことに成功するが、何故かロボットと一緒にライリーおばちゃんも付いてきてしまうのであった。

ライリーおばちゃんを演ずるアーサー・ルーカンは勿論男性であるわけで、青島幸男のいじわるばあさんシリーズや吉本新喜劇の桑原和男、モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズ演ずるペパーポット等と同じ役回りと言えようか。

15作も続いたシリーズなだけあって、ルーカンのライリーおばちゃんの人物設定や立振舞には安定したコメディ要素が見られるものの、それ故に大真面目に怪奇映画的演技をするルゴシとのギャップの凄まじさと言ったらない。同様なコメディ映画と言えば、ユニヴァーサルの『凸凹フランケンシュタインの巻』(1948)が挙げられるが、アボットとコステロのドタバタの方が単純明快であるが故に時代を超えてなお面白さを保っているように思われる。加えて、ハウセン博士の最期やロボットを使った世界征服の目論見等の伏線が何も解決されないまま、「はい、おしまい!」と言った感で突如として終劇となる構成もいただけない。

本作を唯一評価するならば、棺から夜会服にマントという、まさにドラキュラの出で立ちで起き上がるハウセン博士に対して、下僕が何故いつもその姿で眠るのかと問いかけ、「この姿で埋葬されたいのだよ」とルゴシがニヒルな笑みを浮かべつつ答えるシークエンスであろうか。実際にルゴシは、本人の意思によって死後ドラキュラの衣装で埋葬されているのである。ルゴシの最期に思いをはせ、何とも言えぬ複雑な感情を抱いてしまうような私のような人間にはオススメできる、完全にマニア向けコレクション。