Conents Menu
Recent Update
Search
Series Pickup
Archives











オペラの怪人

The Phantom of the Opera(1962)

Director
テレンス・フィッシャー

Cast
ハーバート・ロム / マイケル・ガフ / ヘザー・シザーズ / ソーリー・ウォルターズ

Production Company
ハマー

ハマー・フィルムが描く「オペラ座の怪人」。ハーバート・ロムの片目だけが覗く怪人のマスクは異様なことこの上なく、怪奇趣味を大いにくすぐられる。パイプオルガンを弾く怪人の片目が徐々に大写しになっていくオープニングも、いかにもハマーらしく期待を高まらせるに十分であり、私のような人間をときめかせる。

本作の怪人は、盗作されたオペラの楽譜を取り戻そうとした際の事故で硫酸を顔に浴び、オペラ座の地下に潜んだこととなっている。ふむ、この設定はユニヴァーサルの43年版を思い出させる。何だか悪い予感がする。そう、本作の怪人は狂人でも悪人もなく、何と殺人すらも犯さぬ完全なる悲劇の主人公なのである。賛否が分かれるところであろうが、私はこの展開に非常にがっかりした。

このような脚本となったのは、当初ケイリー・グラントが怪人役に予定されていたためであるという。しかしスターであったグラントのホラー映画への出演は叶わず、結果として同脚本でハーバート・ロムが怪人を演ずることとなった。ちなみに、ハーバート・ロムは『ピンク・パンサー3』(1976)で怪人のセルフパロディも演じている。

本作は怪奇色を押さえてドラマ性を高めようとした脚本に引きずられてか、はたまたテレンス・フィッシャーの演出手腕の陰りのためか、本来ならば大きな見せ場となるはずの怪人のアンマスク・シーンや、シャンデリア落下シーンが取ってつけたようなものとなってしまっている。怪人の出で立ちが怪奇的であり、オープニングで期待を高まらせるだけに、全体として何とも残念で不完全燃焼となる作品である。