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ハマー・フィルムが制作したクリストファー・リーのドラキュラ映画第2作目にして、『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の正統なる続編。前作のクライマックスシーンである、カッシング演ずるヴァン・ヘルシングとドラキュラとの対決から幕はあがり、再びリーのドラキュラが銀幕に復活する!リーのドラキュラ復活ということもあって興行収入的にはヒットを飛ばした作品であるが、リーはなんと一言もセリフを発さない。おそらくはそれゆえにこの映画は日本国内では未発売なのであろうが、これに関しては当事者のリーと、脚本家のジョン・エルダーとで、後日語った事実に食い違いが生じている。リーは「脚本のセリフがつまらなかったのでカットさせた」と言い、ジョン・エルダーは「リーは台本をもらうまで、セリフの無い事を知らなかった」と言っている。真実は定かではないが、とにかく残念ながら復活したドラキュラ伯爵は唸ったり、叫んだりはするものの、全く喋らないのである。
しかし、やはりリーのドラキュラの存在感は圧倒的であるし、ゴシックムード溢れる映像は見るものにドラキュラの実在性を十分に納得させるだけのリアリティを持っている。ラストのドラキュラの終焉はおいおいというあっけなさがあるし、リーと対峙するアンドリュー・キーア演ずるシャンドール神父もカッシングほどの魅力を持ち得ていないが、リーの勇姿を拝めるだけで満足できる怪奇の血が濃い人間ならば、必見の映画である。特に後期ハマーが制作したドラキュラ系の映画が徐々にセルフ・パロディのように形骸化していくのに対し、この映画はまだ正統的な怪奇映画としての風格を持っている。
この『凶人ドラキュラ』は日本未発売ではあるが、近年はインターネットの普及とDVDの普及により個人でも簡単に海外の映画を入手することが可能となっているので、私と同様の趣向を持っている方ならば、迷わずに購入し、是非リーの勇姿を拝むべきであろう。
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