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ドラキュラ復活 血のエクソシズム

Scars of Dracula(1970)

Director
ロイ・ウォード・ベイカー

Cast
クリストファー・リー / デニス・ウォーター / ジェニー・ハンレイ / クリストファー・マシューズ

Production Company
ハマー

ハマー・フィルムが制作したクリストファー・リー主演ドラキュラ・シリーズ第5作目。とは言え前作『ドラキュラ血の味』(1970)からのストーリー的な連続性はなく、それまでの多少なりとも前作との連続性を保とうとしていた脚本とは明らかに異なった、シリーズ中やや独立した性格が強い作品である。この作品以降、ハマーはシリーズに連続性を持たせることをやめ、ドラキュラ・シリーズは形骸化したセルフ・パロディのようなものとなっていく。

本作品の特徴は何と言っても、初作『吸血鬼ドラキュラ』(1958)以降著しく台詞やその登場シーンが減少していたドラキュラ伯爵の作品前面への復帰である。ドラキュラ伯爵を演ずるリーの台詞が多く、登場シーンが多い。それこそが我々怪奇映画ファンが待ち望んでいたことであり、そのため本作品に対するファンの評価は高い。しかしその一方で、ドラキュラが吸血鬼の花嫁をナイフで何度も刺し貫いたり、下僕のクローブに対してドラキュラが焼けた剣を背中に押し付け罰を与える等、シリーズ中最もサディスティックな作品でもある。

『血のエクソシズム』(1970)はリーの登場シーンが多いことで、私のような人間は十分に満足してしまう作品ではあるのだが、残念ながら疑問を感じる演出が多々見受けられることも事実である。あまりに非協力的な村人達や、妙に強いコウモリ等、少々首を捻らざるを得ない演出がちらほらと存在し、リーが登場しない合間のテンションを維持することが困難なのである。これはドラキュラという「受身」な存在の怪物をシリーズ化することの難しさが原因であるように思う。基本的にドラキュラは城にいて犠牲者を待ちうけていなくてはならず、犠牲者は自らその城へと向かうための必然性が、しかも前作とは異なる理由が必要なのである。ハマーの2本柱であったドラキュラとフランケンシュタインの両シリーズが、ドラキュラ・シリーズは回を重ねる毎に脚本の質が明確に低下していったのに対してフランケンシュタイン・シリーズが比較的その質を維持したのはこのドラキュラというキャラクターの制約による脚本展開の難しさに問題があったように思う。

本作はそれでもなお、絶壁に面した寝室からリーが城壁を這い登るシーンや、コウモリを手下として使う等、魅力的な演出も数多い。是非『吸血鬼ドラキュラ』でリーのドラキュラに取り憑かれた方ならば一見することをオススメする、ハマー・ドラキュラ・シリーズの水準には十分に達した作品である。