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エクソシスト

The Exorcist(1973)

Director
ウィリアム・フリードキン

Cast
リンダ・ブレア / マックス・フォン・シドー / ジェーソン・ミラー / エレン・バースティン

Production Company
ワーナー

時代を代表する映画というものがある。特定のジャンルに留まることなく、その時代、年代の全てを変えてしまうほどの作品がある。そういった意味で『エクソシスト』は70年代を代表する映画の一つである。この映画と『オーメン』(1976)によって70年代はオカルトの時代となったわけであるが、これら両作品のヒットに肖ろうと後に乱発された他のいわゆる「オカルト映画」と言われる駄作の数々に比べ、『エクソシスト』は正にオカルト映画の最高峰ともいうべき気品と恐怖に満ちた傑作である。

と、言ったものの、実は私がこの作品を初めて見た時の感想は「つまらん」であった。神父達が悪魔に取り憑かれたリーガンに悪魔祓いを行うクライマックスの演出もむしろ滑稽に映ったし、何よりもキリスト教が文化の根底に根付いている西欧圏とは違い、我々日本人にとってはキリスト教のさかしまなる信仰というものが現実味を帯びた恐怖として感ずることが困難なように思われた。我々日本人がジャパニーズ・ホラーを観て「じとっとした」ものを感ずるほどには、キリスト教文化の闇の歴史は「肌」に訴えかけてこないのである。

しかし、そんな私の評価が完全に覆ったのは、長らく絶版状態にあった創元推理文庫のウィリアム・ピーター・ブラッディの原作「エクソシスト」が再販され、その原作に触れたことによる。科学的な解明を求めれば求めるほどに悪魔の存在が明確になってゆく過程、そして信仰を失いかけているカラス神父の内面的苦悩と悪魔の精神的駆け引き、映画では決して全てがうまく映像化されたとは思えない部分へのそれらの凄まじい描き込みが、私を震えあがらせ、そして再度映画へと向き合わせることになったのである。

本来ならば、映画というものは原作の助けを得なくては理解に苦しむものではあってはならないと私は考えているが、この『エクソシスト』に関してだけは例外であった。原作を読んだ後に再度見なおすと、前回はただただショッキングさを狙っただけとしか思えぬ映像や、悪魔祓いの儀式の緩慢さ等が、圧倒的な迫力を持って私に迫る思いがした。そしてそれは原作を上回る恐怖であったのである。さすがに傑作と評されるだけの作品である。是非とも原作を読んだ上で臨みたいオカルト映画の傑作であると言えよう。