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ジキルとハイド

Edge of Sanity(1989)

Director
ジェラール・キコワーヌ

Cast
アンソニー・パーキンス / グリニス・バーバー / サラ・マウア・ソープ / デビッド・ロッジ

Production Company
アライド・ヴィジョン

アルフレッド・ヒッチコック監督の傑作『サイコ』(1960)でノーマン・ベイツを演じ、一躍その名を知られることとなった、アンソニー・パーキンス主演のサイコ風『ジキル博士とハイド氏』もの。原作のテーマである人間の二重人格性に切り裂きジャックの要素を加え脚色された本作は、アンソニー・パーキンスの持つ神経質なイメージを全面に押し出し、アート嗜好の強いスタイリッシュな映像をその特徴とする作品である。

モルヒネに代わる新しい麻酔薬の研究を重ねるジキル博士は、ある日偶然にその麻酔薬を吸引し、その副作用によって自らの悪の心を解き放ってしまう。薬によってハイド氏へと変身したジキル博士は、夜毎娼館へ通っては街頭で拾った娼婦達を切り裂いていくのであった。やがて薬への依存が高まる中、ジキル博士はハイド氏に徐々に締め出されていく・・・。

アンソニー・パーキンスのサイコな演技に加え、本作は何と言っても作品全体を覆うアート嗜好の強いカメラアングルや美術構成が素晴らしい。ハイドと化した際の青を基調とした冷たい色彩や、斜めの構図を多用し心理的な不安感を煽るカメラアングル。重厚な書斎から繋がる幾何学デザインの研究室、どぎつい赤色で統一された娼館等、その高い美意識はそれだけで一見の価値はある。80年代の悪趣味で低俗なスプラッタ・ブームの嵐が吹き荒れた中で、このような作品が生み出されたことは非常に喜ぶべきことであった。

物語自体も実際の切り裂きジャックの事件と上手く絡めており、娼婦の名前や殺害の状況等は事実とは異なるものの、さほど違和感を感じることなく纏められている。部分的には稚拙な演出も見受けられるが、ハイセンスな色彩感覚と美意識が好感を呼ぶ、正統派の怪奇映画の佳作と言えよう。