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オペラ座の怪人

The Phantom of the Opera(1989)

Director
ドワイト・H・リトル

Cast
ロバート・イングランド / ジル・ショーレン / ビル・ナイフィー / ステファニー・ローレンス

Production Company
21stセンチュリー

時代を代表する怪奇俳優というものがある。20年代はロン・チャニー。30年代から40年代はベラ・ルゴシとボリス・カーロフ、ついでにおまけでロン・チャニー・Jr.。60年代から70年代はクリストファー・リー、ピーター・カッシング、ヴィンセント・プライス。といったところだろうか。ところが、特殊メイクが主流となった80年代以降は、俳優そのものが怪奇俳優として知名度を上げることが困難になっていったように思う。そんな中で唯一80年代を代表する怪奇俳優こそ、『エルム街の悪夢』(1984)シリーズで一環してフレディ・クルーガーを演じた、ロバート・イングランドである。

本作『オペラ座の怪人』(1989)はそのイングランドが主演した、数ある『オペラ座の怪人』ものの中でも最もホラー度の高い作品である。原作を大胆にアレンジし、現代のニューヨークで女優クリスティーヌが、かつてエリックが作曲した「勝ち誇るドン・ジョヴァンニ」の楽譜を発見することで、100年前のパリにタイムスリップし、エリックと出会うという設定となっている。

しかし、原作をかなり脚色している割には実は私は本作を気に入っている。数多い『オペラ座の怪人』ものの中で、最もベストな作品とすら思う。80年代の作品故、確かにグロテスクなシーンは多く、エリックの人格設定もシリアル・キラー的な要素を多分に含んでいる。それでもやはり、エリックは醜くなくてはならない、というロン・チャニー以来の絶対要素を復活させた功績は非常に大きいと考える。私が本作を気に入っている最大の理由はそこにある。

つけ鼻や入れ歯によって顔の輪郭を形成し、その上から皮膚を自らの手で縫い合わせパテで繋ぎ目を隠すというエリックのグロテスクな演出は凄まじいの一言に尽きる。しかしそこまでしなければ、ロン・チャニーを上回る作品としての衝撃は成し得なかっただろう。グロテスクな要素にも耐えうる方には最もオススメの『オペラ座の怪人』である。