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ペンデュラム

The Pit and the Pendulum(1991)

Director
スチュアート・ゴードン

Cast
ランス・ヘンリクセン / ローナ・デ・リッチ / ジェフリー・コムズ / オリヴァー・リード

Production Company
フルムーン

『死霊のしたたり』(1985)や『フロム・ビヨンド』(1986)でH・P・ラヴクラフトの世界観を大きく歪めて世間に広めてしまった、スチュアート・ゴードンが今度はポオの「陥穽と振子」を映画化した作品。あぁ、ラヴクラフトに続いてポオまでも汚すのはやめてくれ!といった私の懸念と不安は大きかったが、スチュアート・ゴードンとしては、思いの他ゴシック・ホラーとしての体裁を何とか保っている。

教会による宗教裁判と魔女狩りの狂気の嵐が吹き荒れる15世紀後半のスペイン。宗教裁判の審問官トルケマダは街で見かけたパン職人の妻マリアの美しさに心を惹かれる。しかし、それこそが魔力の証であるとして、マリアは魔女の嫌疑で捕えられてしまう。全裸にされ、魔女の印を探されるマリアと、その肉体に心をより惹かれていくトルケマダ。トルケマダは自らに鞭打たせることで自らの欲望を押さえ込もうとするものの・・・。

中世の魔女狩り及び宗教裁判の歴史には、カトリックの性に対する厳格な教義と、人間の動物としての性に対する欲望の矛盾が原因の一旦として存在したことは確かである。しかし、それを劇場公開時に大幅にボカシが必要となるような映像として直接的に描き切ってしまうと、やはりそれは下世話な印象を免れない。そのエロ・グロセンスこそが私がスチュアート・ゴードンを嫌う理由である。

それでもなお本作がゴシック・ホラーとしての体裁を保っていられるのは、ゴシック趣味溢れる拷問器具や小物といった珍しく凝っているセットと、トルケマダを演ずるランス・ヘンリクセンの演技力による。ヘンリクセンの皺は、心に闇を抱えた苦悩と人間の業の深さが刻まれているかのようであり、この手の役回りには抜群の存在感を発揮する。後半ビックリな展開を見せる脚本のB級さ加減や過剰な性的表現はあるものの、ヘンリクセンの演技故にギリギリ許せる怪奇映画。