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ドラキュラ

Bram Stoker's Dracula(1992)

Director
フランシス・フォード・コッポラ

Cast
ゲイリー・オールドマン / ウィノナ・ライダー / キアヌ・リーブス / アンソニー・ホプキンス

Production Company
アメリカン・ゾエトロープ

80年代のうんざりするようなスプラッター・ホラーを過ぎた90年代、突如としてホラー映画界にゴシック・リバイバルの波を巻き起こしたコッポラ監督の超大作。多額の制作費を掛け、豪華なキャストで制作された本作品を見て「怪奇映画が帰ってきた!!ゴシック万歳!!」と喝采したのは私だけ・・・かもしれないが、とにかく正統派の怪奇映画がこれだけの規模にて制作されたのは、非常に画期的な出来事であったと言えよう。しかも、ヘルシングやレンフィールド、ジョナサンとミナ、そしてルーシーは勿論として、今まで割愛されることの多かったアーサー・ホルムウッド、クインシー・モリスといった、原作の登場人物達が原作通りの正しい役回りで初めて顔を揃えたということも特筆に値する。

しかし、残念なことに本作は実は怪奇映画ではない。ウィノナ・ライダー自らが企画を持ち込んだということもあってか、物語はドラキュラとミナを主軸に据えた、恋愛映画と化しているのである。この変更により、本作のドラキュラ伯爵は、過去のどのドラキュラ映画よりもドラキュラ的魅力に欠けている。ベラ・ルゴシのような奇怪な雰囲気を漂わせることもなく、クリストファー・リーのような貴族的で荒々しい気高さを漂わせることもなく、ゲイリー・オールドマンのドラキュラは闇の魅力に乏しいことこの上ない。

超大作としてドラキュラ映画を製作するためには、ホラー映画という枠組みを超えて一般客層を取り込む必要もあったのであろうから、これはいたしかたないことなのかもしれない。いくらイギリスに渡ってからのドラキュラが只の色気違いに成り果てていようと、実は怪奇映画の風味を加えたつまらないラブ・ロマンスであることに途中で気付かされようと、それでもなお、かつてないほど豪勢なドラキュラ城や、ハーカーを襲う3人の女吸血鬼の艶かしさ、城壁を這いずるドラキュラ伯爵等、史上最高のレベルで描かれたドラキュラ映画の一つであることは間違い。

本作『ドラキュラ』のヒットにより、90年代はゴシック・リバイバルとも言える古典怪奇映画を豪華なキャスティングで恋愛を交えた形で描くというブームが巻き起こり、『フランケンシュタイン』(1994)や『ウルフ』(1994)といったユニヴァーサルで御馴染みの古典怪奇映画の主人公達が続々と銀幕へ返り咲いた。

とにかく史上最高の豪華なドラキュラ映画であり、恐らく私が紹介している吸血鬼映画の中でも現在最も知名度の高い映画であろう。この映画でドラキュラに興味を持ったならば、是非ルゴシやリーのドラキュラも見て頂きたいと思う。ゲイリー・オールドマンの軟弱なドラキュラとはまた違った、闇の魅力に溢れたドラキュラをそこに見出すことができるだろう。