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フランシス・F・コッポラ監督の『ドラキュラ』(1992)の成功によって90年代はゴシック・リバイバルの隆盛を迎えたわけであるが、古典的怪奇映画のドラキュラが映画化されたとなれば次は当然のことながら、双璧を成す『フランケンシュタイン』(1994)の登場である。しかし、『ドラキュラ』の成功に比較し、本作は「何か違う」という感が強い。かつてない程の豪華な映像で壮大なスケールで描かれた史上最高のフランケンシュタイン映画であるにも関わらず、本作には何かが明らかに足りないのである。
この問題はフランケンシュタイン映画の永遠の宿命でもあるのではあるが、これはやはり良くも悪くもユニヴァーサルが原作を超えてイメージの普及を行った『フランケンシュタイン』(1931)の功罪であると言えよう。あまりにユニヴァーサルの作品が優れていたがため、ユニヴァーサルの作品を見たことがなく、ボリス・カーロフの名を知らぬ人ですら、フランケンシュタインの怪物と言えば、ジャック・ピアースの手によるあのメイクを思い浮かべる。メアリー・シェリーの原作を読んだことがない人は多く、フランケンシュタインと言えば落雷によって甦る怪物と思っている。
その悪条件を承知の上でロバート・デ・ニーロ演ずる怪物を"Creature"と呼ばせ、新たな怪物像に正面から挑んだ本作は極めて勇敢であったと言えるのであるが、やはりユニヴァーサルのイメージの壁は厚く難攻不落であることを再認識する結果に終わったと言えよう。
フランケンシュタイン映画をこの世に多く排出したハマー・フィルムが成功したのは怪物を主役に据えるのではなく、ピーター・カッシング演ずるフランケンシュタイン男爵を主軸にシリーズ展開を行ったからに他ならない。やはりフランケンシュタインの怪物は「あの顔」でなくてはならない。この強固なイメージがある限り、今後もフランケンシュタイン映画の制作はその作品の出来に関わらず、極めて困難を伴うことであろう。ユニヴァーサルの古典はそれだけ素晴らしく、そして重い足枷なのである。
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