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クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア

Queen of the Damned(2002)

Director
マイケル・ライマー

Cast
スチュアート・タウンゼント / アリーヤ / マーガリート・モロー / ヴァンサン・ペレーズ

Production Company
マテリアル

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)から8年の歳月を経て制作された、アン・ライスの『ヴァンパイア・レスタト』及び『呪われし者の女王』を原作とした続編。前作でレスタトを好演したトム・クルーズらの豪華キャストは一新され、全体的に小粒な印象の強い役者ばかりが揃った作品。

100年の眠りから覚めたレスタトは、闇に生きるヴァンパイアの掟を破りロックスターとして世界中にその姿を現した。レスタトの挑発的な言動は他のヴァンパイアの不興を買い、彼の一度きりのライブコンサートに向けレスタトを抹殺せんとするヴァンパイアや、長年に渡りヴァンパイアを影から研究していたタラマスカ達が動き出し、レスタトの周りには不穏な空気が流れ出す。しかしレスタトの歌声は、5千年の眠りについていたヴァンパイアの源流、アカーシャすらをもその眠りから呼び覚ましてしまったのだった。

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の紹介の際も言及したが、私はアン・ライスが大嫌いである。本作における彼女の同人誌的嗜好は『夜明けのヴァンパイア』を超えてさらに加速する。吸血鬼のレスタトがロッカーとして成功するなど冗談にもほどがある。下積みなく突如成功するという展開はあまりに御都合主義的であるし、ゴシック系のロックのイメージを歪曲させた功罪も計り知れない。しかも悪いことに国内外のゴスシーンではアン・ライスに影響を受けたとおぼしき若い世代が既に登場してしまっている。『夜明けのヴァンパイア』で見せたアン・ライスの着眼点の良さは『ヴァンパイア・レスタト』では霧散し、レスタトというキャラクターに思い入れをしすぎた余りに生み出された同人誌的的嗜好が全編を覆い尽くしている。

さて、原作に対する憤りもさることながら、映画自体の出来も芳しくないのが本作の一番の問題である。膨大な量に及ぶ2作品の原作をまとめて映画化したせいもあろうが、脚本に未消化な部分が余りに多く存在し、原作では丁寧に描かれていた吸血鬼の生い立ちやアカーシャの存在意義が希薄である。さらにライブシーンのあの興冷めせよと言わんばかりの、表面的に過ぎる熱狂の演出。ハロウィン用に売られているような安っぽい三叉の槍や斧が、アイドルに対して向けられるペンライトよろしく振りかざされるシーン!もはや笑うしかない。全編に渡って表面的な視覚に頼り過ぎた演出が多く、内容が全くない。そう、前作がニール・ジョーダン監督による文芸的な風格を伴った作品であったのに対して、本作はアクション映画的な作品となってしまっているのである。

残念ながら、アカーシャを演じた歌手のアリーヤは飛行機事故のため本作が遺作となったが、いかに死者に追悼の意を表そうとも、本作に対する評価が変わるわけではない。原作そのものも生真面目な怪奇幻想を嘲笑するかのような作品であるが、『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』(2002)はそれを上回る出来の悪い駄作である。