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E・A・ポオ

Edger Allan Poe(1809-1849)

ポオこそが、アメリカ文学界が生み出した最大の狂気の天才的小説家であり、幻想と怪奇の世界に住んでいた最高の小説家である。その天才的な才能は世界で最初の推理小説である「モルグ街の殺人」や、幾度も映画化されている「アッシャー家の崩壊」等で多方面に知られ、また幾多の幻想的な詩においてもその奇才ぶりはいかんなく発揮されている。その圧倒的で幻想的な文学の力は日本にも影響力を与え、江戸川乱歩という作家を生み出したことは皆さん御存知のことであろう。

ポオの小説の特徴はとにかくその幻想的世界の完璧なまでの構築であり、その世界への読者を引きずり込む強烈な魔力にあると思う。特に私が最も好きなのは「リジイア」と「モレラ」の2篇なのであるが、このどちらの作品も、頽廃と幻想の濃厚な雰囲気が圧倒的な文筆力で迫ってくる物語であり、私はとにかくその雰囲気に惚れ込んでいる。思春期特有の精神的不安定な時期を過ぎても私の性向はあいも変わらずにこれらの頽廃性を好み、いまだに読み返しては背筋がぞくぞくする快感に恍惚としているほどである。

ラヴクラフトに比較して、ポオの小説の数々はやや難解な印象を受けるが、その言葉が紡ぎ出す怪しげな世界に一度入り込んでしまえば、二度と抜け出すことができない程その言葉の発する魔力は強烈である。

また、彼の幻想的な小説以外の作品も恐ろしく構成が完璧であり、怪奇幻想ではない分野においても彼の才能と完璧主義的な性格は如実に現れている。しかしそれがまた少々鼻につくと言えば言えなくもなく、あらゆる分野において完璧な作品が著されているが故にポオに違和感を感じる人も少なくはなかろう。とは言え、ラヴクラフトでさえもがその初期の頃にはポオの影響力を免れることができなかった程、ポオは偉大なる幻想作家である。恐らく皆さんも彼の代表的な作品の一つや二つは目にしたこともあろうが、ここは是非文庫でも入手が可能であるのだから、全集を手にし、彼の偉大なる才能に直に触れてみて欲しいと思う。