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ラヴクラフト・オン・スクリーン

Lovecraft on Screen

ラヴクラフトの小説は、これまでに数多く映画化されている。私に言わせれば、その多くは原作とは掛け離れたものと成り果てているのではあるが、ラヴクラフトの小説が映画というジャンルに多大な影響を与えているのは確かなようである。ここではデータベース的にラヴクラフト原作の映画を挙げることにする。


呪いの古城

The Haunted Palace(1963)

原作「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」

■コメント
基本的な物語の流れは原作に忠実であるものの、原作の大部分を占める黒魔術の描写がばっさりとカットされているため、ジョセフ・カーウィンが何故復活したのか、彼の真の目的は何であったのか、という点が非常に不明確で、原作の恐怖を充分に生かしきれていない作品。愛すべきB級映画の巨匠ロジャー・コーマンがポオ原作の一連の作品を制作したうちの一つであり、ポオに紛れて何故ラヴクラフトがあるのかは謎。


襲い狂う呪い

Die, Monster, Die(1965)

原作「宇宙からの色」

■コメント
アーカムの焼け野の雰囲気や、異次元からの物体による植物の突然変異等、原作の雰囲気を充分によく表現している佳作。とはいえ、低予算なのは見え見えであり、かなりのマニアでないと、現代では退屈な演出が多々見受けられる。とはいうものの、非常に重苦しい雰囲気に包まれたウィットリー家に忍び寄る恐怖は中々手堅くまとめられておりラヴクラフト原作と称する怒涛の駄作の映画の中では、かなり上位に属するものであるといえよう。


ダンウィッチの怪

The Dunwich Horror(1970)

原作「ダンウィッチの怪」

■コメント
言わずもがなのラヴクラフトの同名小説の映画化作品。原作がラヴクラフトを代表する傑作であるのに対して、この映画はかなりの駄作であり、つまらないものとしてできあがっている。当時とあるレンタル・ビデオ店で、ようやくこの映画を見つけた時は、小躍りせんばかりに喜び、その一本のために入会して借りたのを思い出す。そしてわくわくしながらデッキにテープを入れ、無邪気に再生した私を待っていたのは、原作とは程遠い駄作であり、大きな脱力感に襲われながらテープを取り出したものである。ラヴクラフト原作の映画は「どこがラブクラフトじゃぁぁぁぁ」という物が数多いが、そういったものの代表的作品。


死霊のしたたり

Re-Animator(1985)

原作「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」

■コメント
原作そのものも、かなりのB級感覚漂う作品ではあるが、この映画はそれをさらに悪趣味とB級のセンスでまとめた、私にとっては全くラヴクラフト原作とは言って欲しくない程の低俗な作品。人によって小説とはこうも異なって捉えられるのかと驚くほどのキレ方であり、この作品がラヴクラフト原作と称する映画の中では最もレンタル・ビデオ店で見かけることが多いだけに、私のこの映画に対する憤りは相当なものである。スプラッタ全盛の時代に悪趣味な人間がラヴクラフトを誤解して作り上げた究極の駄作。


死霊のしたたり2

The Bride of Re-Animator(1989)

原作 なし

■コメント
悲しむべきことに、『死霊のしたたり』は続編が作られている。一応データベースとしての目的から、リストには掲載するが、これはもはやラヴクラフトではない。前作も原作から程遠い作品であったが、本作品はそれのオリジナルな続編である。ラヴクラフトを誤った形で一般に広めた本シリーズの罪は重い。


ヘルダミアン 悪霊少女の棲む館

The Unnamable(1988)

原作「名状しがたいもの」

■コメント
少々原作からは離れたストーリー展開ではあるものの、なかなかホラー映画としても、ラヴクラフト原作を上手にまとめている点で、好感のもてる作品。決して恐怖を感じるという程ではないが、まぁ駄作が多いラヴクラフトものの中では及第点には達していると言えよう。


ヘルダミアン2 蘇える魔獣伝説

Terror Eyes(1989)

原作 なし

■コメント
これは全く原作とは関係がない作品。ストーリーも『ヘルダミアン』とも全く繋がりはない。原題から類推するに、おそらく日本でビデオ化された際に、勝手に続編であるかのような邦題がつけられたものと思われる。ちなみにこの作品は駄作。


ヘルダミアン3

Lukas Child(1991)

原作 なし

■コメント
さらにこれも原作とも、前作、前々作とも繋がりのない作品。これもビデオタイトルの勝手な変更と思われる。これに限らず、日本のホラー映画のタイトルは、かなり改変され、いかにも続編であるかのようになっている物が多い。ちなみにこの映画もかなりの駄作であった。


ヘルハザード 禁断の黙示録

The Resurrected(1991)

原作「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」

■コメント
ラヴクラフト原作の映画の中で、最も傑作なのがこの作品である。原作にかなり忠実にストーリーが進められる上、演出、特殊撮影などの質も高い。後半がやや画面が暗すぎるという点はあるものの、ラヴクラフトのファン以外にもお勧めできる一本である。是非一見して頂きたい。


地底人アンダーテイカー

Lurking Fear(1992)

原作「潜む棲む恐怖」

■コメント
原作をかなり脚色したストーリー、アクション映画さながらの銃撃、既にラヴクラフトではない映画。これはむしろ、「潜み棲む恐怖」からインスピレーションを得た物語であると考えた方が適切であろう。


ネクロノミカン 禁断の異端書

Necronomicon(1993)

原作「壁の中の鼠」 / 「冷気」 / 「闇に囁くもの」

■コメント
それぞれ異なる監督が各話を担当した3話からなるオムニバス。特筆すべきは各話を繋ぐベース・ストーリー部分で、丸顔のジェフリー・コムズが特殊メイクによって顔の長いラヴクラフトその人に扮していることであろう。とにかくその似ている様子が尋常ではなく、角度と表情によっては、本人ではないかとさえ思ってしまうほどである。3話の中では2話目の「冷気」が叙情的で完成度も高い。3話とも良質な出来のオムニバス・ホラーである。