ここで皆さんにお話しているものは全て
私が実際に直接体験した心霊体験談である。
故に、開設はしたものの、
基本的に心霊体験等というものとは無縁の私にとって
更新されることはまずないであろうものであったはずだった。
しかし、また語らなくてはいけない時が来てしまった。
仕事を終えた私は自宅へ向かう電車へと乗り込んだ。
いつもと同じような車内の風景。
帰宅するサラリーマン達の気だるい雰囲気が立ち込める。
疲れていた私は暫く開くことの無い側の扉にもたれ
明日やらなければならない仕事の事などを考えながら
外を流れる風景をぼおっと眺めていた。
外は既に暗く、明るい車内の風景が窓に映りこんでいる。
私とは逆の向かいの扉の側にも
私と同じように扉にもたれるようにして立っている女性がいた。
別段不思議な風景でも何でもない、
いつもと同じ帰宅だった。
何とはなしに向かいの扉のそのOL風の若い女性に目をやった。
朝のラッシュでも終電間際のラッシュでもないというのに
その女性に背を向けるようにして
すぐ側にもう一人、年の頃30前後と思われる女性が立っていた。
その背中の辺りを虚ろな目で見つめ続けるOL風の若い長髪の女性。
あまりに不自然な距離。
少々奇妙ではあったが、別に異常なことは何も起きなかった。
しかし、何かがおかしかった。
何か全身を駆け巡る違和感。
どこかで感じたことのある強烈な違和感。
電車が駅のホームに入り減速をした。
遠心力で30前後と思われる女性が扉の方へとよろめいた。
OL風の若い長髪の女性にぶつかる「はず」だった。
ところが、よろけた女性はそのまま扉にもたれかかった。
「そんなバカな?」
あやうく私は声をあげそうになった。
30代の女性はOL風の若い女性をすり抜けて、何事もなく扉で身を支えていた。
これだけ明るい電車の中。
これだけ人がいる電車の中。
そして、あまりに鮮明に見えたOL風の女性。
それが霊だというのか?
・・・完全に霊だ。
よろめいた女性を支えるかのように若い女性の手はその両肩に回され
その長い髪の毛はよろめいた女性の肩口からしなだれている。
しかし二人は重なっていた。
そして、虚ろな眼差しだった表情は
ぞっとするような満足げな表情に変わっていた。
周りの人にはこれが見えていないのか?
何故誰も驚かない?
そして30前後の女性は何も感じていないのか?
慌てた私は周囲を見回した。
誰もが皆、何事もなかったかのように電車に揺られている。
普段と同じ電車の風景。
重なり合ってる彼女達を除いては。
「俺だけにしか見えていない?」
できるだけ平静を装いながら
私はそれから一区間の間彼女達を見続け
降りる必要のない次の駅でホームへと駆け下りた。
確かに私が通勤で使う電車は
都内で最も飛び込みの多いことで知られる電車である。
しかし、こんなに明るい雑踏の中、ここまで鮮明に見えるなんて・・・
私は彼女の豹変した表情や奇妙な印象を与える外見よりも何よりも
このシチュエーションのあまりに日常的なことに愕然とした。
今、これを読んでいるあなたも
霊と重なり合っているかもしれない
明るい部屋の中で
家族もいる家の中で
あなたも今、霊とひとつになっているかもしれない。。。
ほら、その肩口に。。。
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