The Legacy (1978)
Director:リチャード・マーカンド
Cast:キャサリン・ロス / サム・エリオット / ロジャー・ダルトリー / チャールズ・グレイ
Production Company:デヴィッド・フォスター・プロダクション
ハマー・フィルムで『フランケンシュタインの逆襲』(1957)、『吸血鬼ドラキュラ』(1958)の脚本や、『フランケンシュタインの恐怖』(1970)、『恐怖の吸血美女』(1971)の監督を手掛けたジミー・サングスターが原作、脚本を手掛けたオカルト・ゴシック・ホラー。撮影は『ドラキュラ 血のしたたり』(1971)、『ドラキュラ'72』(1972)のディック・ブッシュ、配役には『悪魔の花嫁』(1968)のチャールズ・グレイが名を連ねる等、何かとハマーと関係の深い映画でもある。
建築デザイナーのマーガレットは仕事の依頼を受け恋人のピートと共にロンドンを訪れるが、バイクで走行していた二人はロールス・ロイスと接触事故を起こしてしまう。事故の相手であるジェイソンと名乗る紳士は謝罪を兼ね二人を自身の屋敷に招くが、やがて屋敷にはマーガレット達が来ることを予期していたかのように、同じ指輪をつけた者達がやってくるのであった。
『エクソシスト』(1973)と『オーメン』(1976)でオカルトの時代となった70年代の中にあって、『サスペリア』(1977)を意識しつつもハマー的なゴシック・ホラーの文脈から挑んだ本作は、極めて意欲的な作品と言えるが、結果的には平凡な佳作に留まってしまっている。
屋敷に集った崇拝者達が一人、また一人と趣向を凝らした殺され方をするのは中々健闘しているし、屋敷からの脱出を試みるマーガレット達が迷宮に入り込んだかの如く幾度も屋敷へと戻ってしまう閉塞感も良く描かれている。にもかかわらず本作を低調と感じてしまうのは、本作全体を通じてどことなく穏やかなムードが漂っているからではないだろうか。主演のキャサリン・ロスとサム・エリオットは本作の共演がきっかけで結婚しており、二人の幸福感が無意識に溢れ出ているのが原因なのではないか。と勝手に解釈して妬む、私はそう、偏屈者である。
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