Resemblance between Gothic Horror and Music
■ SHOXX別冊Snob 01
■ 2003.08.27発売
■ 特集"今、マリリン・マンソンの全てを語る"
■ 発行:株式会社音楽専科社
■ 定価:1600円
■ イントロダクション
Marilyn MansonやMalice Mizerといった頽廃的で耽美的な嗜好性を持ったバンドの登場により、ゴシックという言葉がメジャーな音楽シーンにおいても耳にする機会が増えて久しい。80年代のゴスに慣れ親しんだ世代はあれのどこがゴシックだと眉をひそめたものの、ゴシックという言葉はメジャーな舞台においても市民権を再び得、我が日本においては「ゴスロリ」なるファッションが定着したのは皆様御存知の通りである。そして、よりアンダーグラウンドな世界では夜な夜なドウランで顔を白くし、ヒビメイクをした男女が集うゴシック系のクラブイベントが盛んに開かれている。これら深夜に行われるゴシック系イベントでは、大音量でゴシック・ロックが流れる中、思い思いの服装に身を包んだ人々が夜が明けるまで踊り明かすというサバトのごとき非日常的空間が繰り広げられている。
そしてまた80年代初頭にポスト・パンクの中からイギリスのバットケイブを中心として生まれ出たポジティブ・パンク、そしてBauhausやThe Sisters of Mercyらに代表されたニューウェーブとしてのゴシック・ロックはジャンルを飛び越えHMの世界にゴシック・メタルなるジャンルを確立する等、音楽的な定義に広がりをも見せている。そもそも中世の建築様式の一つであったゴシックという言葉は、その元の意味を失い定義を変え、今や闇を嗜好する全ての人々の共通キーワードとして、ありとあらゆる方面に見られるものとなったと言えるだろう。
これは何も音楽の世界においてのみ見られる現象ではない。娯楽性を兼ね備えつつ美術や音楽といった全ての芸術的要素を含んだ映画の世界においても、「ゴシック」をキーワードとして持つ作品は、昔から数多く作られてきている。そこで当コラムでは、映画作品におけるゴシック的なるイメージを追い求め、その歴史を遡っていくことにしよう。