Freaks (1932)
Director:トッド・ブラウニング
Cast:ハリー・アールズ / デイジー・アールズ / ウォレス・フォード / オルガ・バクラノワ
Production Company:MGM
『魔人ドラキュラ』(1932)で怪奇映画監督の第一人者としての地位を築いたトッド・ブラウニングが、サーカス一座でアクロバット芸人をしていた自身の経歴を生かし長年温めていた企画を実現させた名作。全米の見世物小屋から募った実際のフリークスを登場させた本作は、公開直後からヒステリックな非難を巻き起こし各地で上映が禁止されると共に、ブラウニングの輝かしい監督人生に幕を下ろす結果となってしまう。
怪力男やフリークスを見世物とする旅回りのサーカス一座。そこの花形である空中ブランコ乗りのクレオパトラは、面白半分に小人のハンスを誘惑してはからかっていた。しかしある日、ハンスが莫大な遺産を相続したことを知ったクレオパトラは、ハンスと結婚し、彼を毒殺しようと企むのであった。
サーカス出身のブラウニングが描くフリークス達への愛情溢れる演出は、決して興味本位の低俗な見世物小屋的視点ではない。フリークス達が見せる適度なユーモアを交えた得意の演技や、生き生きとした表情は嫌悪感を生み出すどころか、力強く生きる彼らに対する賛美すら抱かせる。闇を嗜好する人々にたまに見受けられる、高慢なフリークス嗜好はそこには見られない。
しかし、それでも腰から下がないジョニー・エック、手足の無いプリンス・ランディアン、シャム双生児のヒルトン姉妹といった本物のフリークス達が銀幕に登場したことで、公開当時MGMは社会的な非難を受け、本作は世界各地で長らくお蔵入りとなった問題作でもある。1962年のベネチア映画祭での再上映をきっかけに、再評価が成されカルト映画の金字塔として今に至っているが、カルト映画というくくりすら失礼であると私は思う。もっと高い評価が下されるべき隠れた名作の一つである。
なお、本作の日本公開時のタイトルは『怪物団』であるが、余りに内容を誤解させるタイトルであり多くの問題を孕むものと判断したため、表記を避けました。あしからず。
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