Revenge of the Creature (1955)
Director:ジャック・アーノルド
Cast:ジョン・エイガー / ロリ・ネルソン / ジョン・ブロムフィールド / クリント・イーストウッド
Production Company:ユニヴァーサル
『大アマゾンの半魚人』(1954)のヒットを受け翌年に制作されたユニヴァーサル・半魚人シリーズ第2作目。前作同様ミリセント・パトリックによる半魚人の秀逸なデザインは異様な魅力を放っているものの、水族館の窓越しに覗くその表情は何とも憐れに映る。
アマゾンで発見された半魚人の報は世界中を駆け巡った。そして世紀の大発見を捕獲すべくアマゾンに探索隊が向かい、一向は首尾よく半魚人を捕獲しフロリダ沖の水族館へと連れ帰る。水族館では、驚異の半魚人の知性をファーガソン教授とヘレンが調べる一方で、半魚人を一般公開しようと目論む。しかし、半魚人は繋がれていた鎖を引きちぎり、水族館を脱走してしまうのであった。
前作であれだけ強烈な登場をし調査隊をてこずらせた半魚人も、本作『半魚人の逆襲』(1955)では何ともあっさり捕獲されフロリダ沖の水族館へと連れてこられてしまう。この冒頭時点で、40年代ユニヴァーサル一連のシリーズと同様に、半魚人もまたキャラクターの形骸化と質の低下という運命を辿ることを悟った方は聡明である。何もユニヴァーサルだけに言えることではないのではあるが、観客は既にモンスターがどのような姿であるかを知っており、雰囲気たっぷりに徐々に姿を見せるような古典的演出手法が意味を成さなくなるシリーズの難しさがここに伺える。しかし、その事を考慮した上でも、ダイナマイト発破で容赦なく半魚人を浮かび上がらせるというその余りに安直な展開は観る者を失望させること甚だしい。
半魚人は水槽の鎖を引きちぎり、車をなぎ倒し、人々を追いかけ孤軍奮闘するが、それでもやはり初作のスリリングさを維持するには到底至らない。予想を裏切ることなく、美女を連れ去る展開も前作の焼き増し的な感は否めず、憐れ、SF映画が興隆を極める50年代に彗星のごとく現れたユニヴァーサル・モンスターは翌年にして早くもその存在感を失ってしまうのであった。
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