La Frusta e il Corpo (1963)
Director:ジョン・M・オールド
Cast:ダリア・ラヴィ / クリストファー・リー / トニー・ケンドール / イズリ・オベロン
Production Company:ボスクフィルム
マリオ・バーヴァがジョン・M・オールド名義で監督をしたゴシック・ロマンス。イギリスはBBFC、アメリカはヘイズ・コードによる規制によって、この時代ではまだ描くことができなかった倒錯した男女の肉体関係を、真正面から主題に据えているのは流石イタリアである。
放蕩な振舞いの末に勘当されていた伯爵家の長男、クルトが弟のクリスティアーノとネヴェンカの結婚に際し城へと帰ってくる。ネヴェンカは元々クルトの許嫁であり、二人は過去に倒錯した肉体関係を結んでいた。一家の皆がクルトの帰郷を歓迎しない中、ある夜クルトは何者かに殺害される。しかし、ネヴェンカの寝室には夜毎にクルトの姿が現れ、彼女に残虐な仕打ちを行うのであった。
本作『白い肌に狂う鞭』(1963)は、『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』(1963)同様にマリオ・バーヴァ独特の色調を抑えた暗く美しい色彩がとにかく素晴らしい作品である。青、緑、赤の暗いトーンの照明が当たる古城でクリストファー・リーが鞭を振るうシーンは耽美的であり、恐怖から苦痛へそして快楽へと表情を変えていくダリア・ラヴィの被虐的な演技も素晴らしく官能的。怪奇映画に性的な描写が介入することを極端に嫌う私ではあるが、本作はギリギリ許容できる範疇と言えようか。
ただ惜しむらくは、本作のアフレコにリーが参加しておらず、イタリア語版、英語版共に別の俳優が声を当てている点である。リーの声が素晴らしいのは今更言うまでもないことであるが、ファンであればあるほどに吹き替えられたリーの声に違和感を覚えてしまうのが何とも残念でならない。
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