The Terror (1963)
Director:ロジャー・コーマン
Cast:ジャック・ニコルソン / ボリス・カーロフ / サンドラ・ナイト / ディック・ミラー
Production Company:AIP
『忍者と悪女』(1963)を撮り終えたロジャー・コーマンが、ボリス・カーロフの契約が3日残っていることをいいことに、2日で撮り上げたという、嘘かまことかは別としても、いかにも低予算で早撮りのコーマンらしいエピソードが残っている伝説的作品。
遠征中に連隊からはぐれてしまい、海辺を彷徨っていた若きフランス軍将校アンドレは、朦朧とした意識の中ヘレンという名の謎の美女と出会う。だが再び彼が意識を取り戻した時にはその美女はおらず、面倒を見てくれた老婆はそんな女性はいないと言うばかり。老女の下男からレップ男爵の城へ行けば分かると聞き出したアンドレは、男爵の城で謎の美女がレップ男爵の妻イルザと酷似していることを知る。しかしその妻イルザは、20年前に死んだ女性であった。
若き日のジャック・ニコルソンを主役に起用し、城のセットや小物すらも使い回すのは当たり前。コーマン御馴染みのシーンの使い回しもお約束。と、まるでAIP/ポーものを見ているかのような既視感に襲われるが、脚本を含めて純粋なオリジナルの怪奇映画である。ニコルソン演ずるアンドレの性格設定が若干高圧的に過ぎ、何故部外者のくせにそこまで我らがカーロフ翁を強気に詰問するのか、と怪奇映画ファン的には納得がいかない不満が若干あるものの、全体的には2日で撮られたとは思えぬ佳作と言える。
なお、本作は以前国内盤ビデオで『古城の亡霊』というタイトルの他に『恐怖』という名でも発売されていた経緯があるが、勿論どちらも同じ作品である。
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