The Mummy's Shroud (1967)
Director:ジョン・ギリング
Cast:ジョン・フィリップス / アンドレ・モレル / デヴィッド・バック / キャサリン・レイシー
Production Company:ハマー
ハマー・ミイラ・シリーズの第3作目にして、「ミイラ男」シリーズとしては最終作にあたる作品。本作を最後に、ハマー・フィルムは長年に渡って名作を生み出してきた、ハマーの象徴とも言えるブレイ・スタジオを閉鎖させている。
バジル卿率いる探索隊は、カーツーベイ王のミイラとされているミイラが王の忠僕プレムのものであり、カーツーベイ王は別途埋葬されていると考え、エジプトで調査を続けていた。そして遂に一行はカーツーベイ王の墓を発見する。しかし、墓守の忠告を無視してカーツーベイ王の墓を暴き、ミイラを持ち帰った一行は、一人、また一人と謎の死を遂げていくのであった。
さて、本作の見所は何と言ってもハマーの名脇役、マイケル・リッパーがほぼ全編に渡って出演している、という点にある。マイケル・リッパーは、ハマーの諸作品で時に愛想の悪い酒場の主人、時には宿屋の主人、あるいは村人として、ハマー作品を幾つか観たことがある方ならば絶対に一度や二度は目にしているであろう役者である。それが本作では、実業家プレストン卿に振り回され、必死に愛想を振りまく気の弱い執事として全編に渡ってコミカルな演技を見せているのである。しかも、ミイラ男に惨殺されるという「見せ場」まで用意されているのであるから、マニア必見と言える。
しかし、本作のミイラ男はメイクがどうにも中途半端で、ユニヴァーサルのジャック・ピアースによるメイクと比べると、数段見劣りがする。洋服のような出で立ちに、腕だけが荒縄でぐるぐる巻きにされたようなそのデザインは、どうにもピンとこない。それでも、最後にミイラが砂となって崩れ落ちるシーンはよく出来ており、ハマーのミイラ男シリーズの中では『ミイラの幽霊』(1959)に次ぐ出来栄えと言える。マイケル・リッパーのファンならば是が非でもおさえておきたい作品。
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