The Shuttered Room (1967)
Director:デヴィッド・グリーン
Cast:キャロル・リンレー / ギグ・ヤング / オリバー・リード / フローラ・ロブソン
Production Company:セブン・アーツ
H・P・ラヴクラフトの「閉ざされた部屋」を原作とする映画。とは言うものの、この原作小説はラヴクラフトの死後に草稿を元にオーガスト・ダーレスが執筆したものであり、ラヴクラフト原作映画として紹介するのは大きく疑問が残る。また、小説は「ダニッチの怪」と「インスマウスの影」の後日譚的な位置づけの内容であるのに対して、本作『太陽の爪あと』(1967)では肝心の怪物が登場しないのも何ともガッカリさせられる。
新婚夫婦のスザンナとマイクは、相続したスザンナの実家である廃屋となった屋敷の様子を見にニューイングランドの孤島にやってくる。島の住民達は美しいスザンナを舐め回すかのような下劣な目で眺める一方で、屋敷を忌まわしい場所と信じており二人を歓迎しようとしない。住民達の恐れを迷信と考え屋敷に滞在することにした二人だが、屋敷の屋根裏では何者かが監禁され蠢いているのであった。
本作はとにかく胸糞の悪い映画である。オリバー・リード演ずるイーサンをはじめとして、田舎のごろつき共の無教養で劣情にまみれた目つきや表情、行動はとにかく不快以外の何物でもない。作品全編を覆うその演出は、何度も途中で映画の再生を止めようかと思うほどに酷く、見るに耐えかねるレベルである。非常に下品極まりない。それは裏を返せばリードの演技力が高い証左でもあるのだが、そもそもそのような脚本、演出とすること自体に私は強い嫌悪感を抱く。
その低俗極まりない演出の原因は恐らく原作にある怪物を描く予算がなかったが故なのであろうとは思うが、ならば映画化するな、というのが本音である。ヒロインを演ずるキャロル・リンレーが怪奇映画に出演する女優としては余りに可憐で美しいため、その思いはより一層強まる。私にとっては、本作は二度と見たくない映画の一つである。
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