I, Monster (1971)
Director:スティーブン・ウィークス
Cast:クリストファー・リー / ピーター・カッシング / マイク・レイブン / リチャード・ハンダル
Production Company:アミカス
オムニバス形式の作品を得意としたアミカスが製作した、長編作品の一つ。ロバート・L・スティーブンソンの「ジキル博士とハイド氏」の翻案作品であり、「ジキル博士/ハイド氏」の名称が「マーロウ博士/ブレイク氏」に変更されている以外は、他の登場人物の名前を含めてほぼ原作小説をなぞった構成となっている。
古典怪奇小説の映画化作品はどちらかと言えばハマーが得意とした分野であるが、「ジキル博士とハイド氏」に限ってはハマーが製作した『ジキル博士の二つの顔』(1960)と『ジキル博士とハイド嬢』(1971)が共に変化球的なものであるのに対して、逆にアミカスが正統派な作品を製作したのは興味深い。それ故か、本作をハマー作品と思い違いしている方も時々いるようである。
マーロウ博士からブレイク氏へと変わるさまは、変身の度に徐々に強いメイクが施されてはいくものの、ほぼリーの表情の演技に負っている。しかし、ドラキュラ役を演ずることに辟易としていたせいもあってか、本作でのリーは実に生き生きと楽しそうに演じており、ブレイク氏の演技もなかなかどうして見応え十分である。
なお、本作は当初3D作品として製作されることが計画されていたそうだが、撮影途中で変更となり通常の作品となったとのこと。リーが実験室でバーナーやメスをやたらとカメラに向けてくるのは、その名残であろうか。もしも予定通り3Dで撮影されていたならば、クリストファー・リーとピーター・カッシングの唯一の3D共演作となっただけに、この変更は何とも残念である。
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