The Guardian (1990)
Director:ウィリアム・フリードキン
Cast:ジェニー・シーグローブ / ドワイヤー・ブラウン / キャリー・ロウエル / ブラッド・ホール
Production Company:シネテル
『エクソシスト』(1973)という70年代を代表するホラー映画を生み出したウィリアム・フリードキンが、実に17年振りに撮影したホラー映画。公開当時『エクソシスト』の名が宣伝文句として用いられていただけに嫌が上にも期待は高まったが、結果的にはひどくB級なホラー映画に留まっている作品である。
新居に越してきたフィルとケイトの若い夫婦は、産まれたばかりの子供の面倒を見てもらうため、ガーディアン・エンジェル社から派遣されてきた美しい女性カミラをベビーシッターとして雇う。カミラは赤ん坊の面倒見も良く、幸せな生活が続くかに見えたのであったが、フィルの元にベビーシッターに子供を連れ去られたという家庭から連絡が入る。
妖気漂う大樹の妖精が人間の赤子を生贄に捧げるというプロットは、古典的かつ正統派の怪奇映画を連想させるが、無味乾燥な演出によってその期待は大きく裏切られる。『エクソシスト』でも垣間見られた傾向ではあったが、ウィリアム・フリードキンの淡々とした演出は怪奇映画という幻想的で詩情溢れるジャンルには向いていないように私には思われてならない。低予算映画でありながらも、見せ方や演出を工夫することで怪奇映画の愛好家達を恍惚とさせるRKOやハマーのような、怪奇幻想に対する愛情、拘りがどうにも彼には感じられないのである。
ラストの大樹との対決もアングルや演出によっては古典怪奇映画的な雰囲気を作り出すことは十分可能であったはずであるが、明るい日差しの中行われる撮影は恐ろしいほどのチープな香りを漂わせてしまっている。一般的にも決して評判の良い作品ではないが、カミラを演ずるジェニー・シーグローブの妖しい魅力が印象的であるだけに、駄作と切り捨てるにはやや躊躇いを覚えてしまう非常に惜しまれる佳作。
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