Bleeders (1997)
Director:ピーター・スヴァテク
Cast:ルトガー・ハウアー / ロイ・デュプイ / クリスティン・レーマン / レニ・パーカー
Production Company:フライズ・シュルツ
国内盤VHS発売時には『ヘモグロビン』(1997)、DVD発売時には『ブレーダーズ クライチカ』、そしてDVD再発時には『H・P・ラヴクラフト 潜み棲む恐怖』として幾度も邦題を変えて発売されている作品。明示的にクレジットはされていないものの、H・P・ラヴクラフトの「潜み棲む恐怖」を原案としている。脚本にはダン・オバノンとロナルド・シャセットの『エイリアン』(1979)コンビが携わっているが、物語に大幅な変更が加えられているのはラヴクラフトものの常と言うべきか。
原因不明の光アレルギーと敗血症を患うジョンは、病気の原因をさぐるために自らの祖先を辿りニュー・イングランドの孤島を妻と共に訪れる。そこでジョンは自らが75年前の城の大火事で滅んだヴァン・ダム一族の生き残りであることを一族の使用人であった老婆から告げられるが、説明の最中に老婆は謎の怪物に襲われ亡くなってしまう。一方、島では何者かによって地中に人が引き摺り込まれるという事件が起き始めるのであった。
ラヴクラフトの「潜み棲む恐怖」の映画化作品では、過去にチャールズ・バンド率いるフル・ムーンによって製作された『地底人アンダーテイカー』(1994)なるトンデモ映画が存在するが、それと比べると本作は真摯に正統派怪奇映画として作られており好感が持てる。脚本に御都合主義的な部分や首を捻りたくなる展開が散見されはするものの、島の医師マーロウを演ずるルトガー・ハウアーのおかげで緊張感も何とかラストまで維持されている。
しかし、本作の残念な点は肝心の怪物のデザインが何とも微妙なとこにある。足を折りたたんで着ぐるみに入っているのであろう姿でのたのたと這い進むその姿は、こちらの期待を裏切ること甚だしい。『地底人アンダーテイカー』は逆に怪物のメイクは悪くなかっただけに、この『ヘモグロビン』の内容で『地底人アンダーテイカー』のメイクであったならばなあ、と思わずにはいられない。何とも残念な佳作である。
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