Snow White: A Tale of Terror (1997)
Director:マイケル・コーン
Cast:シガーニー・ウィーバー / サム・ニール / モニカ・キーナ / ギル・ベローズ
Production Company:ポリグラム
90年代のゴシック・リバイバルの中で産み落とされた異色のダーク・ファンタジー。グリム童話の「白雪姫」をベースに独自の解釈を加え怪奇色を強めて映画化されている。
怪奇色を強めて描かれた童話と言えば、「赤頭巾ちゃん」をベースとした『狼の血族』(1984)が挙げられる。しかし、『狼の血族』が大人になることに対する不安感を主軸に据えた思春期向けの作品であるのに対して、本作『スノーホワイト』(1997)は完全に大人向けな内容である。そこに描かれるのは老いに対する恐怖心や若さに対する嫉妬であり、思春期の私が観たとしても、感想は全く実感を伴わない別のものとなっていただろう。
白雪姫の若さとその姿に前妻の姿を重ねてしまう継母の嫉妬心と嫌悪感、そして自分自身の老いに対する恐怖。その複雑な感情がやがては狂気へと変わっていく難しい役柄を演ずるのはシガニー・ウィーバー。代表作でもある『エイリアン』(1979)シリーズでのアクション面でのイメージが強い彼女ではあるが、彼女の演技力が高いのは今更言うまでもなく、本作でも白雪姫は勿論、その父親であるサム・ニールや全てのキャストを食い尽くす程の強烈なインパクトを放っている。
鏡に向かってノーメイクに近い状態で自らの老いを悲しむシーンや、特殊メイクで毒リンゴを渡す老女までをも演じた、ウィーバーの熱演は本来の主人公であるはずの白雪姫よりも観る者の感情移入をさせる程である。大人の女性にこそ観て欲しい、闇の御伽噺。
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