Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street (2007)
Director:ティム・バートン
Cast:ジョニー・デップ / ヘレナ・ボナム・カーター / アラン・リックマン / ティモシー・スポール
Production Company:ワーナー
19世紀のイギリスの様々な怪奇小説に登場する、都市伝説的猟奇犯罪者である「スウィーニー・トッド」を題材としたミュージカルを、ティム・バートンが映画化した作品。スウィーニー・トッドを演ずるのは、『コープス・ブライド』(2005)での声優を含めると、バートンと組むのが本作で6回目となるジョニー・デップ。
19世紀ロンドン。フリート街で理髪店を営んでいたベンジャミン・バーカーは、妻に横恋慕したターピン判事の陰謀によって無実の罪で投獄させられる。それから15年後。脱獄に成功した彼はスウィーニー・トッドと名を変え、ロンドンへと戻ってくるが、彼の妻は毒をあおり、娘はターピンの養女となって幽閉されていた。怒りに燃えるトッドは、理髪店の大家でありロンドンで最もまずいパイ屋としても知られるミセス・ラベットと手を組み、ターピン判事への復讐を始めるのであった。
『スリーピー・ホロウ』(1999)を思い起こさせるモノトーンを基調とした映像美の中で、グラン・ギニョールの勢いでばっさばっさと首を掻き切られていく犠牲者。飛び散る赤い血がモノトーンの背景の中で実に鮮やかに映える。しかし皆、別に判事への復讐とは何ら関係のない普通の客達ばかり。そしてその死体を人肉パイとして処理し、大繁盛してしまうミセス・ラベット。これはもう怪奇映画ではなく、コメディ映画に近い強烈なブラック・ユーモアである。これを大笑いしながら観ることができるかどうかで、本作への評価は正反対となるであろう。勿論、私は大笑いした。
本作が劇場公開された時、一部では「グロテスクだ」とか「残酷表現がキツイ」といった感想がよく聞かれたが、それはジョニー・デップ目当ての女性ファンにとっての話でしかない。観る者を選ぶ作品と言ってしまえばそれまでだが、ミュージカルという構成そのものに抵抗がない限り、我がサイトを訪れる方々ならば間違いなく楽しめるグラン・ギニョールの傑作である。
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