The Wolfman (2010)
Director:ジョー・ジョンストン
Cast:ベニチオ・デル・トロ / アンソニー・ホプキンス / エミリー・ブラント / リック・ベイカー
Production Company:レラティヴァティ・メディア
ユニヴァーサルの『狼男』(1941)のリメイク作品。勿論、配給は本家ユニヴァーサルであり、狼男ローレンス・タルボットの名が再び銀幕に甦る!しかも狼男のメイクを手掛けるのは、もはやこの人がやらずして誰がやる!のリック・ベイカー。期待はいやが上にも高まるというものである。
物語は41年版の『狼男』に敬意を払いつつ、ローレンス・タルボットと父親との確執や、『吸血狼男』(1961)をさらにスケールアップしたようなロンドンでの大捕り物、そしてラストの格闘といった新たな要素を付け加え、モンスター映画としての魅力に満ち満ちている。ドラキュラやフランケンシュタインの怪物がどちらかというと「静」のモンスターであるのに対して、狼男は「動」のモンスターであり、スピード感溢れる演出はやはり観ていて何ともわくわくさせられる。
そして、狼男映画の最大の見せ場である変身シーンもこれまた魅力的。本作のメイクアップで7度目のアカデミー賞を受賞したリック・ベイカーの手によりバキバキと手や足が伸びていく様は非常にリアルで痛々しく、しかし、目を背けたくなるようなグロテスクさ一歩手前の描写で古典怪奇映画としての風格を絶妙なバランスで保っている。
が。にもかかわらず、本作は興行成績も劇場に足を運んだ人達の評判もあまり芳しいものではなかった。実際私としてもわくわくさせられるシーンは多かったものの、作品全体としては何故か凡庸な印象が強い。狼男映画の古典を本家ユニヴァーサルの元リメイクするという重圧が、やや窮屈な結果を生んでしまったのであろうか。それとも私の期待が大きすぎたのであろうか。重厚なゴシックムード溢れる正統派怪奇映画ではあるものの、少々残念な力作。
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