Dark Shadows (2012)
Director:ティム・バートン
Cast:ジョニー・デップ / ミシェル・ファイファー / クロエ・グレース・モレッツ / クリストファー・リー
Production Company:ヴィレッジ・ロードショー
『血の唇』(1970)のリメイク作品。と紹介されることの多い本作であるが、正確にはそのキャラクター設定を流用したオリジナル作品であり、『血の唇』が正統な怪奇映画であるのに対して本作『ダーク・シャドウ』(2012)はコミカルなダーク・ファンタジーである。
18世紀のコリンズポート。水産業で財を成したコリンズ家のバーナバスは、使用人のアンジェリークにいたずらに手を出してしまったことで、恋人のジョゼットを呪い殺され、自らも吸血鬼へと変えられ生き埋めにされてしまう。やがて時は流れ200年後の1972年。工事の影響で偶然掘り起こされ甦ったバーナバスは、コリンズ家が没落してしまっていることを知る。「家族こそが財産」と教えを受けたバーナバスはコリンズ家の再興を目指すのであったが。
ジョニー・デップやヘレナ・ボナム・カーターといったバートン作品の常連陣に加えて、クリストファー・リーやオリジナル版でバーナバス・コリンズを演じたジョナサン・フリッド、果てにはアリス・クーパーまでもが出演するという超豪華キャスティングではあるが、本作はかなり平凡な作品となっている。思わせぶりな伏線が回収されぬままであったり、唐突な設定がラストで飛び出したりと、脚本が随分と散漫であるのに加えて、肝心のバーナバス・コリンズの人格設定もブレが大きく感情移入しにくい。
浦島太郎的に1970年代の文化にイチイチ驚くバーナバス・コリンズは観ていて単純に面白いし、我らがドラキュラ伯爵、クリストファー・リー演ずる船長が吸血鬼に催眠術で操られるという展開も中々愉快ではあるものの、残念ながらそれは些末なエッセンスとしてしか機能していない。バートン、デップのコンビにしては随分と残念な作品。
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