Carrie (2013)
Director:キンバリー・ピアース
Cast:クロエ・グレース・モレッツ / ジュリアン・ムーア / ジュディ・グリア / ガブリエラ・ワイルド
Production Company:MGM
鬼才ブライアン・デ・パルマが映画化したスティーヴン・キングの同名小説のリメイク作品。オリジナル版『キャリー』(1976)でシシー・スペイセクが強烈なインパクトと共に演じたキャリーを演ずるは『モールス』(2010)の美少女、クロエ・グレース・モレッツである。
このキャスティングは私としては失敗であったように思う。やはりクロエはキャリーを演ずるには可愛いすぎる。貧相でどこか垢ぬけず、神経質そうで幸薄い顔立ちのシシー・スペイセクがプロムに誘われた途端に輝きを帯びるからこそ、我々はどんどん感情移入したのであって、そしてだからこそ、天国から一転の地獄が効果を上げカタルシスを生んでいたのである。クロエの内気な演技は十分に素晴らしいが、それでも元から輝いているのは隠しきれない。
キャリーへのいじめがスマホで録画されたり、ネットに拡散されたり、学校がいじめ対策に積極的に関与しようとしたりするあたりは現代風なアレンジが加えられているものの、本作のストーリーは原作及び76年版をほぼなぞっている。しかし、最大の相違点はキャリーが超能力を自身の意思でコントロールできる点にある。キャリーが自らの意思で復讐を行うことで爽快感は増してはいるが、一方で制御できない超能力の暴走という超自然的な恐怖、不条理さは失われてしまった。
結果として、本リメイク版は単独ではそれなりに及第点に達しているとは言え、傑作であった76年のデ・パルマ版は残念ながら超えていない。オリジナルと比較されてしまうのはリメイクの宿命であるが、やはりデ・パルマは偉大であり、シシー・スペイセクはまさにハマリ役であったことを再認識してしまう作品である。
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