The Woman in Black: Angel of Death (2014)
Director:トム・ハーパー
Cast:フィービー・フォックス / ジェレミー・アーヴァイン / ヘレン・マックロリー / リアン・ベスト
Production Company:ハマー
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(2012)の世界的な成功を受け製作された続編。前作の原作者であるスーザン・ヒル自らが原案を担当しており、前作から40年後となる1941年の「イールマーシュの館」を舞台とした物語となる。
第二次世界大戦中のイギリス。学校の教師であるイヴは戦禍を逃れるため、学校の子供達と共に田舎へと疎開することになる。しかし、疎開先として選ばれたのは、廃屋となって久しい「イールマーシュの館」であった。彼らの到着をきっかけに、再び黒衣の女の霊が館に現れるようになり、子供の命が一人、また一人と奪われていく。
前作が極めて古典的で上品な幽霊譚であったのに対して、本作は残念なことにただ大きな音で脅かすだけのありきたりな作品となってしまっている。主人公であるイヴは心にトラウマを抱えているが、掘り下げ方が不完全であり安易に取って付けた感は否めない。むしろ、イヴのトラウマを描くのであれば、シャーリー・ジャクスン原作の『たたり』(1963)のエレナーのように、霊に取り込まれてしまった方が良かったのではないかとも思う。
しかし本作の最も大きな問題は、画面が暗すぎることである。これはかなり致命的な暗さであり、カーテンを閉め部屋を暗くし観ていても幽霊が物陰で蠢いていることに全く気が付かないレベル。誇張でも何でもなく、幾度も急な音に疑問を感じ、巻き戻して目を凝らし確認してようやく気付く程なのである。これではせっかくの演出や衣装、メイクすべてが台無しで意味がない。
確かに前作の監督であるジェームズ・ワトキンスは「見えない恐怖を描こうとした」と語っており、それは非常に良い効果をあげていた。本作はそれを文字通り受け取ったのか、本当に「見えなく」してしまっている。暗くて見えないのでは描いていないのと同じであり、気が付かなければ恐怖も感じない。何故このような判断に至ったのか強い不満を覚える。一体どのような編集環境で作業を行ったのだろうか。
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