ダニエル・ダックス

ホーリー・ワーバートンの華麗にして荘厳なコラージュ写真に包まれたアルバム、極端なメイクや衣装、ポップでありながらもジャズやフォーク、果ては民族音楽まで様々な音楽性を取り入れた実験的でアヴァンギャルドなサウンド。ダニエル・ダックスは、極めて80年代的なアート嗜好を持ったアーティストの一人と言える。
いかにも手作り的な4トラックのテープ・レコーディングされていた初期の楽曲では、ジャケットにかける費用を機材に回せ、というような批判も多々見受けられはしていたが、それこそがダニエル・ダックスの魅力であったと私は思う。国内ではインディーズが自主制作と呼ばれていた時代、ダニエル・ダックスの持つ強烈な個性と美意識には、それらの自主制作と同じ香りが漂っていた。そしてその香りに、メジャーといった大資本に支えられた画一的な音楽を嫌っていたアート嗜好の強い者達は惹き付けられていた。
実際、メジャーに移籍しポップ性を高めた『Blast The Human Flower』が発表された時のファンの反応は、メジャーに行って毒気を抜かれた、というものが大半を占めていたように記憶している。個人的にはポップ性を高めたこのアルバムこそがダニエル・ダックスのある意味での頂点であるようにも思わなくもないのではあるが、残念なことにスタジオ・アルバムとしてはこれが事実上の最後のリリースとなってしまっている。
ダニエル・ダックスは「ゴス」ではないため、当サイトの方向性とは多少方向性を異にするかもしれぬが、80年代から脱却することが未だにできない私はダニエル・ダックスを度々引っ張り出してきては80年代の香りに浸っている。私にとってダニエル・ダックスは、決してヘビー・ローテーションで聴くわけではないが、ある一定の周期で必ず聞いている大切なアーティストの一人なのである。
Discography (Album)




Released 1988
01.Cat House / 02.Big Hollow Man / 03.White Knuckle Ride / 04.When I Was Young / 05.Yummer Yummer Man / 06.Fizzing Human Bomb / 07.Whistling For His Love / 08.Flashback / 09.Inky Bloaters / 10.Brimstone In A Barren Land / 11.Bad Miss 'M' / 12.Touch Piggy's Eyes / 13.House Cat / 14.Bed Caves / 15.Sleep Has No Property / 16.Hammerheads / 17.Pariah / 18.Where The Flies Are / 19.Funtime



Released 1995
[Disc1]
01.Yummer Yummer Man / 02.Bad Miss 'M' / 03.Fizzing Human Bomb / 04.Where The Flies Are / 05.Up In Arms / 06.When I Was Young / 07.Big Hollow Man / 08.Muzzles / 09.The Passing Of The Third Floor Back / 10.Music From The Film 'Axel'
[Disc2]
01.Olamal / 02.Whistling For His Love / 03.Cat House / 04.Touch Piggy's Eyes / 05.House Cat / 06.White Knuckle Ride / 07.Cold Sweat / 08.Hate On Sight / 09.Defiled / 10.Blight / 11.Mongatron
