ジュネティック・ブードゥー
1985年11月3日に後楽園ホールで行われた「時の葬列・終末の予感」第13夜でAuto-Modを葬り去ったジュネは、その後Baji Worktheaterを率いて前衛アングラ演劇の世界に身を投じていった。そしてジュネが再び音楽シーンに戻り最初に結成したバンドが、このGenetic Voo Dooである。
しかし、Auto-Modで展開したアングラ性、ポジパンの影を払拭するかのように、白塗りを取り去ったジュネが見せたそのサウンドは、70年代サイケデリックを基調とした正統派ハード・ロックであった。ジュネ自身のヴォーカル・スタイルもハイトーンやシャウトを多用したものへと変化しており、Auto-Mod時代のナンバーもよりロック色の強いものへとアレンジされることになる。残念ながら、そこにはAuto-Modのような禍々しさ、シアトリカルな魅力はなくなっていた。しかし、生き生きとロックを楽しむかのようなジュネの姿がそこにあったことも事実である。
後にジュネ自身が語ったところによれば、Auto-Mod解散後のジュネは自らの音楽的ルーツを辿っていたということであるが、このGenetic Voo Dooを含め、ジュネは91年のGenet/Rock of Romance結成に到るまでの間Auto-Mod的方法論を封印することとなってしまう。
Genetic Voo Dooのアルバムは、カルメン・マキをゲストに迎えたライブ・アルバムを1枚残すのみである。しかし、カルメン・マキのために作曲されたという「Love」や、後にGenet/Rock of Romanceでも演奏された名曲「幻惑の夜」を含むLP2枚から成るフル・ライブは非常に内容の濃いものとなっている。Auto-Mod的幻想性はそこにはないが、ロック・バンドとしての魅力に溢れた隠れた名盤と言えるであろう。
Discography (Album)
Released 1988
01.I Came Back Again For My Kingdom / 02.Friend / 03.Psycho Dance / 04.Alice In The Wonderland / 05.幻惑の夜 / 06.Requiem / 07.Burning Love / 08.Dance On My Beat / 09.Hymen A L'amour / 10.Voo Doo Magic / 11.Fuck Me With The Universe / 12.It's Just Like A More Morning / 13.Love / 14.Born To Be Wild