ネフィリム

1991年に解散したFields of the Nephilimのヴォーカリストであったカール・マッコイがメンバーを入れ替え新たに始動したバンド。なんとそのアルバムは国内盤までが発売され、ゴスのムーブメントが去ってからと言うものの冷遇されることに慣れきっていた私にとっては非常に驚くべき光景を生み出した。
しかし、それはこのNefilimのサウンドを聞けば納得する。Fields of the NephilimがThe Sisters of Mercyを思わせる明らかなゴシック・ロックであったのに対して、このNefilimはインダストリアル・メタル、スラッシュ・メタル的な攻撃的なサウンドをその特徴としており、国内盤がリリースされたのもゴスの流れとしてではなく、明らかにメタル・バンドとしてであった。
低く唸りをあげるマッコイのヴォーカル・スタイルもFields of the Nephilim時代と比較してやや攻撃的になっており、ゴシック的な雰囲気を漂わせつつも暴力的に押しまくるサウンドと相俟って、非常に激しいメタル・サウンドを生み出している。そのあまりの激しいサウンドはアルバムを通して聞く度にある種の疲労感のような、肩に重くのしかかるものを感じさせるほどである。
確かにマッコイのヴォーカルにはこのようなサウンドがマッチしていると言えなくもなく、新たなる方向性としてのNefilimには期待をしていたのではあるが、残念ながらアルバムリリースは『ズーン』の1枚に留まり、マッコイは再びFields of the Nephilimとして活動を再開している。