Revolt of the Zombies (1936)
Director:ヴィクター・ハルペリン
Cast:ドロシー・ストーン / ディーン・ジャガー / ロイ・ダルシー / ロバート・ノーランド
Production Company:ハルペリン・プロダクション
世界で最初のゾンビ映画である『ホワイト・ゾンビ』(1932)を世に送り出したハルペリン兄弟が再び製作したゾンビ映画。と聞けば嫌が上にも期待は高まるが、決して期待してはならない。本作はゾンビとは名ばかりの、最早ゾンビ映画でも怪奇映画でもない奇妙奇天烈な作品なのである。
時は第一次世界大戦。連合軍はカンボジアの高僧の秘術を用いたゾンビ兵達を前線へと投入し、劇的な結果を得る。しかしその秘術を脅威と感じた連合軍は、ゾンビの秘術を葬るべくカンボジアへ調査団を派遣する。一行に選ばれたルークは調査団の仲間であるクレアに好意を寄せるものの、クレアはルークの友人のクリフと恋に落ちてしまう。そんな中、偶然にもゾンビの秘術を知ったルークは...。
さて。何ともツッコミどころの多い映画である。怪奇映画と思いきや、中盤からいきなりクレアを巡る三角関係の恋愛映画となる展開には何とも驚かされる。そもそもハイチのブードゥー教ではなく何故カンボジアなのか、そして仏教徒であるはずのカンボジアの高僧は何故ヒンドゥー教的な仏像に祈りを捧げているのか、そして建物は何故中国風なのか。と、とにかく何とも無茶苦茶である。ルークが秘術を手にする流れも余りにお粗末であるし、挙句の果てには主人公であったルークがそれを悪用するというトンデモ展開。しかも、その際に画面に大写しとなるのは『ホワイト・ゾンビ』の際のルゴシの眼である。
肝心のゾンビも甦る死体ではなく、ただ生者が催眠術で操られるのみ。ルークが術を解くと、皆理性を取り戻す。本作『ゾンビの反乱』(1936)は、『ホワイト・ゾンビ』におけるベラ・ルゴシと、ドラキュラ城のセットの存在がいかに大きかったのかを痛感する、何とも腰砕けな作品である。
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