Werewolf of London (1935)
Director:スチュワート・ウォーカー
Cast:ヘンリー・ハル / ワーナー・オーランド / ヴァレリー・ホブソン / レスター・マシューズ
Production Company:ユニヴァーサル
ロン・チャニー・Jr.が当たり役とした『狼男』(1941)に先駆け制作されたユニヴァーサルの狼男映画第一作。『狼男』によって確立され、現在一般的に流布している狼男は銀に弱い、変身後は理性を失うといった通説はこの当時はまだなく、本作はむしろ『ジキル博士とハイド氏』を思わせる展開を見せるのが興味深い。
チベットの奥地で満月の夜に咲くという幻の花マリフェイザを探していた植物学者グレンドンは、悲願叶って遂に幻のその花を発見する。しかし、その採取中に謎の獣に腕を噛まれ怪我を負った彼は、ロンドンに帰国後、満月の夜に狼男へと変身してしまう。東洋人の植物学者ヨガミ博士の忠告により、チベットより持ち帰ったマリフェイザが狼男になることを防ぐことを知る彼であったが、その効果は一時的なものでしかなく、やがてロンドンで満月の夜になる度、謎の殺人事件が起こっていくのであった。
当初狼男にはボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシらが候補として挙がったそうであるが、結局狼男を演じたのは、怪奇俳優ではないヘンリー・ハルであった。そのせいもあってか、狼男のメイクは後のロン・チャニー・Jr.のものと比べて控えめで大人しい。しかし、個人的にはあのもこもことした狼男のデザインは好きではないので、ヘンリー・ハルの髪型を生かしたメイクの方が中々凶悪な印象で好感を持てるが皆様は如何であろうか。また、狼男映画の売りとも言える変身シーンで、ハルが屋敷の柱の影を通り過ぎる度に徐々に狼男へと変化していくという見せ方は、技術的限界を覆うアイディアとして非常に秀逸である。
なお、ワーナー・オーランド扮する東洋系のヨガミ博士、名前を「ヨコハマ」博士と幾度も間違えられる。いずれにしても日本でそのような苗字を聞いたためしはないのだが・・・。ううむ。
amazonでこの映画を検索