House of Dracula (1945)
Director:アール・C・ケントン
Cast:ジョン・キャラダイン / ロン・チャニー・Jr. / グレン・ストレンジ / ライオネル・アットウィル
Production Company:ユニヴァーサル
"House of Frankenstein"の次は"House of Dracula"だとばかりに、何とも創造性に欠ける原題のユニヴァーサル・フランケンシュタイン・シリーズ第7作目。第二次世界大戦終結の年に制作されたということもあろうが、シリーズの質は落ちるとこまで落ち、芸術性を兼ね備えていた往年のユニヴァーサル怪奇映画の姿は最早ここにはない。
エーデルマン博士の邸宅にドラキュラ伯爵がやってくる。何とドラキュラは昼間も動けるようになりたいと言うのである。エーデルマン博士はドラキュラの血液を調べ、その血液に見られた寄生体を治療することでその体質を改善することが可能であると判断し、ドラキュラを地下に匿うことにする。やがてドラキュラに続いて、狼男ローレンス・タルボットが博士を訪れてくる。タルボットの悩みをも引き受けたエーデルマン博士であったが、屋敷の地下にある洞窟で彼は偶然にフランケンシュタインの怪物(と、ニーマン博士の白骨)を発見し、ここに三大モンスターが集うことになる。しかし、ドラキュラの治療を進める中、ドラキュラは自らの血をエーデルマン博士に注入してしまい、博士の身に変化が現れはじめる・・・。
何といい加減な脚本!何と言う御都合主義!シリーズも回を重ねるとこうなってしまうという、我が国の怪獣特撮にも通ずるかのような、まさに悪しき例そのものであると言えよう。アール・C・ケントンの演出は平凡で芸術性の欠片もなく、退屈極まりない。本作で唯一の見るべき点は、前作ではその扱いが余りに低かったジョン・キャラダインのドラキュラの出番が増えているということぐらいであろうか。スマートで優雅な立ち振る舞いを見せるキャラダインのドラキュラは、前作とは異なり室内劇が主体となっていることもあり、ルゴシとはまた異なるその魅力を存分に発揮している。とは言え脚本は酷いものなのであるが。
なお、本作の邦題である『ドラキュラとせむし女』(1945)は、エーデルマン博士の美しい看護婦の一人がせむしであることに起因するのであるが、何ともすごい邦題である。ユニヴァーサル・フランケンシュタイン・シリーズを全て制覇したい、という私のようなマニア以外には決してオススメしない駄作。
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