Amanti D'oltre Tomba (1965)
Director:マリオ・カイアーノ
Cast:バーバラ・スティール / ポール・ミラー / ヘルガ・リーネ / ローレンス・クリフト
Production Company:EmmeCi
『血ぬられた墓標』(1960)で一躍イタリアを代表するホラー・クイーンとしての座を確立したバーバラ・スティールが主演した亡霊奇談。
アイアスミス博士の妻ムリエルは、夫の目を盗んでは屋敷の下男と情事を重ねていた。しかし、浮気に気付いた博士に二人は捕らえられ、激しい拷問の末に二人は殺害されてしまう。その後博士はムリエルの財産を奪うため、彼女に生き写しの妹であるジェニーと再婚するが、ジェニーはやがてムリエルの影にその精神を蝕まれていくのであった・・・。
バーバラ・スティールがムリエルとジェニーの二役を演じ、ジェニーの精神がムリエルに支配されていくという展開は言うまでもなく『血ぬられた墓標』そのままであるし、アイアスミス博士と結託する年老いた下女が唐突に博士の手術により若返る等、全体的に随分と安易でお粗末な雰囲気が漂う。
また、イタリアン・ホラーの常ではあるが残酷な描写が多く、アイアスミス博士の性格設定は救いがなく、サディスティックな拷問シーンの描写も不必要に長く感じられる。『血ぬられた墓標』がサディスティックな描写を交えながらも全体的にスタイリッシュであるのに対して、本作は残念ながらマリオ・バーヴァの足元には遠く及ばず、稚拙な模倣の粋を脱しているとは言い難い。部分的には優れた点が散見されるものの、バーバラ・スティールが主演している、ということのみに魅力を感じることのできる方以外にはあまりオススメすることのできない作品である。
amazonでこの映画を検索