The Tomb of Ligeia (1964)
Director:ロジャー・コーマン
Cast:ヴィンセント・プライス / エリザベス・シェファード / ジョン・ウエストブルック / オリヴァー・ジョンスン
Production Company:AIP
AIP/ロジャー・コーマンのポオ・シリーズ第8作目にして、コーマンが手がけたポオ・シリーズとしては最終作にあたる作品。流石に8作品目ともなるとマンネリの感は否めず、ヴィンセント・プライスのアクの強い演技も鼻につく。原作はポオの数多くの作品の中で、私が最も好きな「リジイア」である。
最愛の妻レジーアを失ったヴァードン・フェルは、廃墟のごとき僧院で隠遁者のような生活を送っていた。しかしある日、彼の地所内で偶然出会った明るく奔放なロウィナに亡き妻の面影を認めたヴァードンは、彼女と恋に落ちやがて二人は結婚する。明るく幸せな結婚生活がはじまるかと思われた二人であったが、ロウィナはヴァードンが夜毎に姿を消すことに気がつく。亡き妻レジーアの影に怯えるヴァードンには、恐るべき秘密が隠されていたのであった・・・。
前作『赤死病の仮面』(1964)同様にイギリスで撮影された本作は、屋外のロケを多用したことでそれまでの室内劇中心のシリーズとは多少趣を異にする作品である。しかし、低予算であることが垣間見られる僧院の余りに殺風景でがらんとした映像と相俟って、屋外でのロケの多用はかえって低予算であることを強く意識させてしまう結果となっている。また、「死」というテーマや「黒猫」を用いた映像も、過去のシリーズの焼き増し的な印象が強く、新鮮味に欠けることは否めない。
ポオの原作で最も好きな作品が、シリーズのマンネリに打ち勝てずに小粒な映画となってしまったことは残念極まりないが、コーマンが本作でポオ・シリーズを切り上げたことは賢明であったと言えるだろう。なお、コーマンがポオ・シリーズから手を引いた後も、AIPはポオ原作とうたう作品をいくつか制作しているが、「B級映画の」という形容詞は付くものの何故コーマンの肩書きが「帝王」であるのかを良く理解させるほどに質の低下は著しかった。
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