Tre Passi Nel Delirio (1967)
Director:ロジェ・ヴァディム / ルイ・マル / フェデリコ・フェリーニ
Cast:ジェーン・フォンダ / アラン・ドロン / ブリジット・バルドー / テレンス・スタンプ
Production Company:マルソー
エドガー・アラン・ポオの怪奇小説を元に、フランスとイタリアを代表する3大監督が競作したオムニバス。ロジェ・ヴァディムの『黒馬の哭く館』、ルイ・マルの『影を殺した男』、フェデリコ・フェリーニの『悪魔の首飾り』と、本サイトではまずお目にかかることのない豪華監督陣とキャストによる超メジャー作品である。
さて、『世にも怪奇な物語』(1967)は超メジャー作品なだけに、本作のレビューは世に溢れかえっている。そのいずれもがフェリーニの三作目が図抜けているというような評価を下しており、まあ、実際のところその通りだと私も思う。しかし、マニアックな怪奇幻想映画を堅苦しい文体で紹介し、生真面目なゴシック・サイトであることを標榜する本サイトで世間と同じような批評を行ってもしょうがない。
では、我がサイトとして本作を観るとどうなのか?確かにカメラワークや脚本、映像の魅せ方、演技のレベル等全てが全て、私が愛してやまないユニヴァーサルやハマーとは段違いに素晴らしい。それはまるで自主制作のゴシック・バンドとメジャー・レーベルのトップ・アーティストを聴き比べた時に感じるような感覚に似ている。しかし、正直に言ってしまおう。私はそういった本来怪奇映画に対してさして興味がないにも関わらず、万能的なセンスの良さだけを生かして制作されたもの、そんなメジャーの垢抜けた才能やセンスに基づく成果物の香りが大嫌いなのである。
いくらその創造物が優れており、いかに怪奇的要素と商業的要素のバランスが取れた内容であっても、怪奇幻想への愛情に満ち溢れていない限り、私の興味はさして突き動かされることはない。故に、本作は世間的には非常に良く出来た怪奇映画であることは間違いないが、私にとっては非常に面白くない作品であり、本作を観るくらいならエド・ウッドのために時間を割く方がまだ有意義に感じられる、というのが率直な想いなのであった。
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