The Walking Dead (1936)
Director:マイケル・カーティス
Cast:ボリス・カーロフ / エドマンド・グウェン / リカルド・コルテス / マーゲリット・チャーチル
Production Company:ワーナー
本作『歩く死骸』(1936)はクラシック・ゾンビの括りとして発売、紹介されていることが多い。しかし本作はゾンビ映画というにはやや首を捻らざるをえないものであり、ボリス・カーロフが主演していることもあり『フランケンシュタイン』(1931)をより強く想起させる作品となっている。
悪徳弁護士ノーランの策略によって殺人の罪を負わされたピアニストのエルマンは、無実であるにもかかわらず有罪となり処刑されてしまう。エルマンが濡れ衣を着せられる現場を偶然目撃していたジミーとナンシーは良心の呵責に苛まれ、死体蘇生の研究をしていたボーモン博士と共に彼を甦らせその面倒を見る。甦ったエルマンは記憶障害を起こしてはいたものの、不思議な力を身につけており、自らを有罪に陥れたノーラン一味を追い詰めていくのであった。
ネタバレ全開してしまうと、実は本作は何とも腰砕けでガッカリな作品である。我々としては甦ったエルマンがノーラン一味に復讐をしていくことを期待する。しかしエルマンは、何故自分が濡れ衣を着せられたのかの理由を求めて一味に近づくだけなのである。一味は甦ったエルマンに恐怖し、ある者は窓から転落し、またある者は列車に轢かれ勝手に自滅する。「え?噓でしょ?」というこのつまらない展開を一味の5人分見させられるのは中々忍耐を伴う苦行である。
『フランケンシュタイン』を強く意識、と言うよりもパクっている謎めいた機械や診察台の中で、電気や火花が飛び交いエルマンが甦るシーン。ノーメイクであるにもかかわらず、フランケンシュタインの怪物にしか見えないカーロフの素晴らしい骨格の横顔には心躍るものの、逆を言えば本作の見所はそこしかない。30年代のカーロフ主演作にしては恐ろしく低調な駄作である。
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